第144回 POWER OCEAN CUP MASTERS CLASSIC 2018北海道 リザルト

開催日 タイトル 場所 対象魚
11月4日(日) POWER OCEAN CUP MASTERS CLASSIC 2018北海道 函館沖堤防 アイナメ・ソイ

 去る11月4日(日)、パワーオーシャンカップ2018北海道ツアー決勝「POWER OCEAN CUP MASTERS CLASSIC 2018 北海道」を開催しました。決戦の地は、パワーオーシャンカップの原点「函館沖堤防」。過去の戦いのなかで数々のドラマを生んできたこの地で、2018年・北海道代表の座をかけた熱い戦いが繰り広げられました。今回選択した沖堤防は通称「赤堤」。南北に全長約1kmに伸びる沖堤防で、内向き、外向きともに足元には基礎となるケーソンが沈み、堤防周辺にもところどころに根が点在。古い堤防なためにストラクチャーは砂に埋もれていることが多く、埋もれ具合はストレッチによって異なり、起伏は様々。また、北端外向きには、小規模の別堤防が射程距離のなかにあり有力なポイントを形成しています。
  今大会にクオリファイされた選手は総勢18名。メンバーは、2017アングラーオブザイヤー、マスターズクラシック2017優勝者、2018ツアー3戦の上位各3名、2018年間ポイント上位10名という顔ぶれ。そのうち、2018アングラーオブイヤーである井戸川真吾選手は「P.O.C. SUPER ROCK FISH 2018」出場権を既に獲得。北海道代表として残るチケットはマスターズクラシック上位3名が手にすることができる3枚のみ。その狭き門をくぐるため、ツアー戦を戦い抜いてきた猛者たちが全力でぶつかり合います。P.O.C. SUPER ROCK FISH 2018を懸けた最後の大一番、はたしてどんな結果が待ち受けているのでしょうか?
 大会前の海の状況はというと、今年どの水域でも同じ傾向が見られる水温低下の遅れ。函館沖堤防も例外ではなく、アイナメをはじめとするロックフィッシュの接岸やスポーニングが大幅に遅れている様子。前向きにとらえれば、プリスポーンの大型アイナメが差してくるタイミングにあたる可能性。後ろ向きにとらえれば、季節進行が進まず魚の密度が薄い可能性。二週間前にプラクティスを行った選手の一部は大型のプリスポーンを確認している様子。そこからさらに時間が進み、一週間のオフリミットの間にはたして海の中はどうなっていくのか・・・当日、蓋を開けてみないことには見えない。それがマスターズクラシックの面白みでもあります。

 大会当日5:00、渡船のベースとなる函館港舟だまり特設本部に選手が集まります。潮周りは若潮明けの中潮初日。7:08に最干潮をむかえ、そこから13:22の満潮にむけて上げ潮となるなかでの試合となります。心配していた西風が予報に反して朝から吹いているのが気がかり。外向きを狙う選手にとって西風は大敵になります。受付、タックルチェック、フライト抽選を早々に済ませ、5:30頃より決戦の舞台である沖堤防へと渡ります。
  船が着いたのは堤防のほぼ中央。そこを沖堤防での仮本部とします。6:30、いよいよ北海道ツアー決勝のフライトを迎えます。各選手の動きを追ってみることにします。まず南側へ展開していった選手は次の通り。中央から、藤田選手、板橋選手、村中選手がまず内向きに布陣。中距離を丁寧に釣り探っています。次に寳福選手。岸際をマキモノでスピーディーに探っています。そこからさらに南端に行くと井戸川選手、丸山選手が内向きに遠投ゲームを展開。工藤選手が同じエリアの岸際、基礎撃ちをしています。南端には佐藤選手、蛯子選手がエントリー。佐藤選手は手前、遠投とくまなくチェック。蛯子選手は先端外向きを中心に遠投ゲームを展開しています。三上選手と若井選手は移動を繰り返しています。三上選手は徹底して岸際、若井選手は中近距離を丁寧に探ります。
  一方、北側へ展開していった選手は次の通り。まず目についたのは玉川選手。岸際をハードベイトで探る速い展開。その先には渡邉誠人選手。内向きの近距離、岸際を狙っています。同じく内向きの近距離を探っていたのが渡辺正悟選手。基礎のショルダーを狙っています。その隣は木下選手。同様に内向きの中近距離戦を展開。
 朝の早い段階で40cmのアイナメをキャッチ。ルアーはバグアンツ2”(385 ソフトシュリンプ)。萩原選手も内向きを攻めます。岸際をフラチャットで攻め、良型をキャッチしている様子。次に橋本選手が並びます。同じく内向きの岸際狙いと、各選手の戦略が重なります。北端外向きにエントリーしていたのが山口選手。射程圏内にある小堤防の際をキャストで狙い撃ちしています。 朝の段階では、全体的にパタパタとアイナメが上がります。そのサイズは30cm前後が多く、キーパーではあるもののスコアを伸ばすには難しいサイズばかり。大きくても35cmどまりといった選手が多い様子。また、南側に展開した選手を悩ましていたのがフグ。まだ水温が高いせいか、フグが多く、イメージどおりのゲームが進められない選手の姿がありました。全体的に各選手が拮抗している状況のなかで、早い段階で一歩リードしたのが玉川選手。7:30過ぎの段階で良型のキーパーを揃えていました。そのスタイルは終始、得意のマキモノ。スピーディーなゲームを続けることで良型を選んで釣っています。昨年からムーブメントを起こし続ける革命児が、自身のスタイルを押し通してこの試合も優位に進めます。10:00頃、試合が再び動き始めます。内向きで移動を繰り返した三上選手。南側から北側へと移動し、そこでキッカーフィッシュとなる1kgオーバーのプリスポーンアイナメをキャッチ。これで団子状態の試合展開のなかから一歩抜け出します。同じ頃、南先端近くにエントリーしていた蛯子選手、佐藤選手、丸山選手に40cmクラスがヒット。あきらかに試合の潮目となるタイミング・・・そんな雰囲気が漂います。
 11:30より検量を開始。ウエイインする選手は無く、各選手ともにギリギリまでキャストを続けます。キッカーが入れば一気にジャンプアップ、あわよくば表彰台という状況に全選手があるだけに、最後の最後まで望みを捨てずに最後のドラマを期待してキャストし続ける光景に、マスターズクラシックにかける選手の本気度がひしひしと伝わってきました。11:45過ぎる頃からウエイインする選手達。全力で戦い抜いた表情が印象に残ります。そして、遂に12:00ウエイイン終了の時刻。2018北海道代表が決まる運命の時となります。

【TOP3】

順位 氏名 重量(g)
1 玉川 正人 2,860
2 佐藤 伸 2,490
3 三上 顕太 2,420

優勝 玉川 正人


 マスターズクラシック2018北海道を制したのは、昨年の北海道ツアー・アングラーオブザイヤー、玉川正人選手。昨年のマスターズクラシックでは準優勝、そして今年は優勝と大一番で圧倒的な強さを発揮する玉川選手。その戦略は常に“攻め”。ハードベイトやマキモノで攻めのゲームの組み立てるスタイルは唯一無二の存在です。今回もタダマキ132という誰も思いつかないようなクランキングミノーでのゲームがメインパターン。そのパターンでアイナメ3尾、トータルウエイト2,860gをメイク。キッカーフィッシュが出ない苦しい状況のなかで、グッドコンディションの魚だけに的を絞った玉川選手らしいパーフェクトゲームでした。

コメント:二週間前のツアー第3戦翌日にプラクティスを行った。壁際を上から探っていくプランで、クランキングとジャークゲームでチェック。その時はショットオーバー3が最も反応が良かった。自分がホームとしている室蘭沖堤防と同じような想定が組めると判断し、当日に臨んだ。フライト後、まずは外向きをタダマキ132(230 セクシーシャッド)で壁際をスピーディーにチェックしていく。しかし、バイト無し。先端から20mほど手前の内向きに差し掛かった際に、良いサイズのアイナメがチェイス。リトリーブレンジが変化するルアーピックアップのタイミングでバイトに持ち込んだ。それが今回のキッカーフィッシュとなった。この一尾でゲームの方向性に確信が持てたので、クランキングをメインに組み立て、ジグヘッドのダートゲームをフォローに入れていった。ダートゲームは、3-1/2”レディーフィッシュ、4”パワーバランス、5”パワーバランスの11~14gジグヘッド。クランキング、ダートゲームともにベイトタックルを使用。2尾目は先端近くの外向き。同じく足元壁際をタダマキ132の速巻きで。「このゲームを続ければ必ず魚は出る!」と信じ、とにかく堤防を歩き回り、比較的早い時間帯にリミットメイクすることができた。このゲームで反応するタイプの魚は全体の一割程度しかいないと思っているので、そのような魚をとにかく探すこと、エリアを変えていくことが大切だと思う。結果的に堤防を2往復して計6尾の魚をキャッチすることができた。ヒットルアーは全てタダマキ132でした。昨年のスーパーロックフィッシュの舞台では菊池選手に負けているので、今年は勝ちたい!

タックル

ロッド: ロードランナーヴォイスHB760M(ノリーズ)
ルアー&リグ: タダマキ132(ノリーズ)

タックル

ロッド: 7’01”ベイトロッド
ルアー&リグ: 3-1/2"レディーフィッシュ4"パワーバランス5”パワーバランス(すべてノリーズ) + 11g、14gジグヘッドリグ

2位 佐藤 伸

 準優勝は、マスターズクラシック北海道常連の強豪“サトシン”こと佐藤伸選手。アイナメ3尾、トータルウエイト2,490gをメイク。日々の釣行から常にストイックに魚と向き合い、そしてトーナメントでは勝負にこだわり妥協を許さない佐藤選手。テクニカルに攻める中近距離ゲームも、近年注目を浴びている遠投ゲームも、どちらのスタイルも極めて高い次元でこなすトップトーナメンターの一人。その姿はまるで武士道を極めんとしているかのようです。自身二度目の頂上決戦SUPER ROCK FISHの舞台で、日本一の頂を目指します。

コメント:函館沖堤防は過去に何度も渡っているフィールドなので、その経験をもとにエリア、パターンをある程度絞って臨んだ。フライトして向ったのは南先端付近。手前に沈んでいる消波ブロックをピッチングで探るプラン。結んだのは14g、17.5g、21gビフテキリグ、ルアーはバグアンツ3”(408 ウォーターメロンバグ、409 ロックベイトシナモンのローテーション)。敷き詰められている消波ブロックの隙間やエッジをベイトタックルで探っていき、早い時間に魚をキャッチしていった。途中、近くにいた丸山選手が遠投スイミングパターンで良い魚をキャッチしていたのが見えたので、遠投ゲームも試してみたがバイトのみだったため、今回の自分のメインパターンとしていた手前の釣りに戻る。途中10:00頃にミスが出てしまったが、気持ちを立て直してゲームを続けた。一日を通して50mほどのストレッチを行ったり来たりしながら、得意のゲームを終始貫き通した。スーパーロックフィッシュは楽しんできたいと思う!

タックル

ロッド: ロックフィッシュボトム パワーオーシャンRPO76XHC2(ノリーズオーシャン)
ルアー&リグ: バグアンツ3”(エコギア) + 14g、17.5g、21gビフテキリグ

タックル

ロッド: ロックフィッシュボトム パワーオーシャンRPO78MHC2(ノリーズオーシャン)
ルアー&リグ: バグアンツ2”(エコギア) + 10gビフテキリグ

 

3位 三上 顕太

 3位には、“ミカケン”こと三上顕太選手がランクイン。アイナメ3尾、トータルウエイト2,420gでウエイイン。2015年、2016年のマスターズクラシックではともに4位と目前でSUPER ROCK FISHへの出場権を逃し、さらに2017年はマスターズクラシックすらクオリファイに届かないという戦績に悔し涙を飲んだ三上選手。その悔しさを糧にして望んだ今シーズン…遂に掴んだ悲願の北海道代表の座。今までの思いを全てSUPER ROCK FISHの舞台でぶつけて欲しいと思います。

コメント:今大会に向けて、ホームエリアである白老で函館沖堤防を想定したゲームを磨いて大会に臨んだ。今回は、自分が得意としている“キワの釣り”で勝負すると決めていた。フライトしてまずは南側へ向う。内向きの岸際を丁寧に探っていく。タックルは、ロックフィッシュボトム パワーオーシャンRPO78MHC2に、タングステン10gのビフテキリグ、ルアーは3-1/2"レディーフィッシュ(127 ナチュラルプロブルー)というセッティング。しばらく探るが、チェイスはあれどバイトに至らず。そこでスピニングタックルにチェンジ。ロックフィッシュボトム パワーオーシャンRPO610LS2に、タングステン7gのビフテキリグ、ルアーはミノーS(004 ウォーターメロン ブラックFlk.)。少しダートさせたり、スパイラルフォールさせたりするために、わざとねじってセッティングした。これで30~35cm位のキーパーでリミットメイク。キッカーを求めて探り歩き、外向きの消波ブロック周辺まで行くがフックアップまでいかないバイトのみ。試合中盤までパッとしない展開だった。本部よりも北側へ移動。内向きを探る。バイトに至らないことからスピードが足りないと判断。ベイトタックルのシンカーウエイトを14gにチェンジ。ルアーはそのまま3-1/2”レディーフィッシュ。これでプリスポーンのメスを見つけ、サイトで釣ることができた。この魚がキッカーとなった。その後も数尾キャッチしたが、入れ替えはできなかった。やっと届いたスーパーロックフィッシュの舞台。パワーオーシャンカップ20周年という区切りで、悔いの無いゲームをし、北海道代表として良い結果を持ち帰りたい!

タックル

ロッド: ロックフィッシュボトム パワーオーシャンRPO78MHC2(ノリーズオーシャン)
ルアー&リグ: 3-1/2”レディーフィッシュ(ノリーズ) + 14gビフテキリグ

タックル

ロッド: ロックフィッシュボトム パワーオーシャンRPO610LS2(ノリーズオーシャン)
ルアー&リグ: ミノーS(エコギア) + 7gビフテキリグ

【総評】

 

 パワーオーシャンカップの原点・函館沖堤防で行われた2018北海道ツアー決勝「P.O.C. MASTERS CLASSIC 2018北海道」。ツアー戦を勝ち抜いた強者だけが残ることが許されるこの決勝の舞台。その先にそびえる夢の頂上決戦「P.O.C. SUPER ROCK FISH 2018」への出場権を懸けた熱いバトルが展開されました。各選手のスコアが拮抗するなかで、キッカーフィッシュを獲ることができれば表彰台に上れるという緊迫の試合展開。気が抜けない時間のなかで、全選手が自分の持てる技術を出し切り、ぶつかりあう…決勝の名にふさわしい一戦となりました。優勝した玉川選手は、ここ数年磨き上げてきたマキモノの展開。2位の佐藤選手は、過去の経験をもとに組み立てた得意のゲームスタイル。3位の三上選手は、徹底的に鍛え抜いてきた“キワの釣り”。それぞれが信じるゲームを、ブレることなく貫き通し、見事スーパーロックフィッシュの切符を手にしました。日々の釣りのなかで、常に自身のゲームを高めようと探求し続けることが勝利への道なのだと、改めて強く感じることができた試合でした。
 今大会を終え、遂に「P.O.C. SUPER ROCK FISH 2018」クオリファイ選手が出揃いました。誰が勝ってもおかしくない強豪ばかり。最終決戦の舞台は「岩手県宮古」。はたしてどんな戦いが待っているのか?まったく予想ができません!

結果

4位 丸山 大一

5位 橋本 憲之

6位 渡辺 正悟

7位 板橋 信明

8位 山口 隆

9位 若井 章弘

10位 蛯子 木世寿

11位 工藤 真一

12位 萩原 智

13位 寳福 一也

14位 藤田 真司

15位 井戸川 真吾

16位 渡邉 誠人

17位 木下 喜智

18位 村中 大騎

 

順位氏名重量(g)魚種P.O.C. SUPER ROCK FISH 2018 出場権
1玉川 正人2,860 アイナメ×3P.O.C. MASTERS CLASSIC 2018北海道 1位により獲得
2佐藤 伸2,490 アイナメ×3P.O.C. MASTERS CLASSIC 2018北海道2位により獲得
3三上 顕太2,420 アイナメ×3P.O.C. MASTERS CLASSIC 2018北海道3位により獲得
4丸山 大一2,340 アイナメ×3 
5橋本 憲之2,260 アイナメ×3 
6渡辺 正悟2,090 アイナメ×3 
7板橋 信明2,010 アイナメ×2、ムラソイ×1 
8山口 隆1,980 アイナメ×3 
9若井 章弘1,840 アイナメ×3 
10蛯子 木世寿1,580 アイナメ×3 
11工藤 真一1,560 アイナメ×3 
12萩原 智1,490 アイナメ×3 
13寳福 一也1,480 アイナメ×3 
14藤田 真司1,420 アイナメ×3 
15井戸川 真吾1,240 アイナメ×3P.O.C.2018北海道ツアーA.O.Y.により獲得
16渡邉 誠人1,040 アイナメ×2、ムラソイ×1 
17木下 喜智1,000 アイナメ×3 
18村中 大騎760 アイナメ×2
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