第210回 POWER OCEAN CUP MASTERS CLASSIC 2025 北海道 リザルト

開催日 タイトル 場所 対象魚
11月30日(日) 第210回 パワーオーシャンカップ マスターズクラシック2025 北海道 落部 ロックフィッシュ

 

 パワーオーシャンカップ2025トーナメントツアー北海道の決勝となる「P.O.C.マスターズクラシック2025北海道」。出場権を獲得できる選手は、前年度トーナメントツアー北海道アングラーオブザイヤー、前年度P.O.C.マスターズクラシック北海道優勝者、今年度トーナメントツアー北海道各戦上位3名、そしてそのメンバーを除いた年間ランキング上位10名のみ。熾烈なツアー戦を勝ち抜いた強豪たちが、さらに上のステージとなる北海道・東北頂上決戦「P.O.C.スーパーロックフィッシュ」への出場権を賭けて戦います。
 今大会の舞台は、ロックフィッシュのメッカである噴火湾なかで、南西に位置する「落部」。今回、落部漁業協同組合様のご協力により、20年を超えるパワーオーシャンカップの歴史上、待望の初開催となりました。競技エリアは、北から「東野漁港」、本部を置く「落部漁港」、南に位置する「栄浜漁港」の三港。消波ブロック上などの禁止箇所を除外したP.O.C.指定エリア内でのラン&ガンバトルです。ロケーションは、全体的にフラットで浅いエリアが中心。底質は砂地がメインで、ポイントによって敷石や根固めブロック、消波ブロック、そのほか障害物が点在しています。また、岸壁際も絶好のポイント。近距離戦から遠投スタイルまで、様々なアプローチでロックフィッシュと向き合えるフィールドです。なお、大会本部を置く落部漁港から、東野漁港へは6km弱、栄浜漁港へは3km弱と比較的近い距離感。競技時間中に各漁港を回るゲームプランを組むことも十分可能です。
 今大会にクオリファイした選手は総勢20名。メンバーを紹介すると、2名のシード選手である2024北海度ツアーアングラーオブザイヤー・高橋真那斗選手とP.O.C.マスターズクラシック2024北海道チャンプ・石本眞那斗選手。そして、2025北海道ツアー第1戦優勝・田川孝男選手、2位・高橋覚選手、3位・赤澤恒平選手、2025北海道ツアー第2戦優勝・上野孝勇貴選手、2位・岩井元選手、3位・工藤大尊選手、2025北海道ツアー第3戦2位・対馬大湧選手、3位・甲森孝太選手。さらに、先述のメンバーを除く年間上位10名として、年間2位・梅津昌樹選手、年間3位タイ・大杉和洋選手、年間3位タイ・寳福一也選手、年間5位・細井雄一選手、年間6位・吉野崇憲選手、年間7位・鈴木侃選手、年間8位・加我強至選手、年間9位タイ・甲谷辰徳選手、年間9位タイ・口岩美夏選手、年間12位・安田将耶選手という顔ぶれ。うち、工藤大尊選手が事情により急遽欠席となったため、19名でのバトルとなりました。このなかからP.O.C. MASTERS CLASSIC 2025北海道覇者、そして頂上決戦P.O.C. SUPER ROCK FISH 2025へ勝ち進む選手が生まれます。
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 P.O.C.マスターズクラシックでは大会前6日間のオフリミットが設けられるため、選手にとって直前の釣況はブラインドがかかった状態。季節的には、例年通りであれば海水温の低下とともにアイナメたちはスポーニングシーズンへと移行し、多くの個体がミッドからアフタースポーンの状態である頃。勝利に直結する大型のアイナメたちの状態ははたしてどのステージなのか?季節進行の見定めが鍵を握ります。また、射程圏にいる魚たちのステージ進行はまとまっているのか?バラついているのか?それによっても大きく戦略は変わってきます。上位3名だけが次のステージへと勝ち上がれるマスターズクラシックにおいて、勝ちきるだけのハイウエイトまで積み上げるためにはプリスポーンのフレッシュな大型雌アイナメ、まだ産卵しきっていないいわゆる“半プリ”の大型雌アイナメを狙いたいところ。しかし、そのタイプの魚の攻略は状況次第で極めてテクニカルな展開になりえます。技術、観察力、判断力、メンタル…決勝らしい痺れる展開になりそうです。

 11/30、5:30過ぎ。本降りの雨のなか、大会本部となる落部漁協駐車場には既に選手が集まっています。南風の影響か、気温はそれほど寒くありません。落部漁協様のご厚意により、雨をしのげる車庫内にて6:00過ぎから朝の受付を開始します。点呼、レギュレーションや競技エリア、スケジュールの確認を行い、フライト抽選を行います。フライト順は下表の通り。

フライトNo.  
1 対馬 大湧
2 上野 孝勇貴
3 甲谷 辰徳
4 岩井 元
5 石本 眞那斗
6 安田 将耶
7 寳福 一也
8 加我 強至
9 鈴木 侃
10 高橋 真那斗
フライトNo.  
11 赤澤 恒平
12 甲森 孝太
13 口岩 美夏
14 高橋 覚
15 大杉 和洋
16 田川 孝男
17 吉野 崇憲
18 細井 雄一
19 梅津 昌樹
タックルチェックを行った後、いよいよフライトの時間となります。フライトNo.ごとにコールされ、一人一人とフィールドへと散っていきます。選手にとっては長いようで短い一日が始まります。なお、当日の潮回りは若潮。干潮4:13(潮位56cm)、満潮11:14(潮位119cm)というタイドスケジュール(基準:森、気象庁発表)。

 6:55、本部前でゲームをスタートしていた細井選手のロッドが曲がります。開始早々1匹目をキャッチということでさらなる展開に期待が膨らみます。落部漁港内を見渡すと、朝一の段階で8名ほどの選手の姿があります。早速、ポイントを巡回しながら各選手に釣況をヒアリングしていきます。7:00過ぎの段階で、梅津選手は既に3匹をキャッチしてリミットメイクしています。その近くには赤澤選手の姿があります。同じく近くでロッドを振っていた田川選手は既に2匹をキャッチしており、傍から見れば順調にスタートダッシュをしたかのように見えましたが、「プラクティスの時とくらべて、魚のサイズが違う。明らかに小さい個体ばかり。」と田川選手の口から言葉が漏れます。オフリミットの6日間で海の状況はかなり変わってしまった様子。田川選手は早々に見切りをつけて、次の展開を求め移動していきます。ふと対岸に目を向けると鈴木選手がランディング中。朝から魚は活発に動いている模様です。我々は、東野漁港へと向かいます。
 8:00、気がつけば雨はすっかり上がっています。東野漁港内に上野選手を見つけます。話を聞くと、「小さいアイナメやカレイの釣果ばかりで良型のアイナメが出ない」とこちらも迷いが見えます。現状を打破すべく、砂浜側へと移動していきます。上野選手曰く、プラクティスでは砂浜側で大型のアイナメが好調だったのこと。今季アングラーオブザイヤーがここで賭けに出ます。その姿を見送ってから、我々は防波堤側へと移動します。石本選手、加我選手、口岩選手、安田選手、吉野選手がエントリーしています。石本選手は既にリミットメイクをし、我々と入れ替わるようにちょうど別の場所へと移動するタイミング。口岩選手、安田選手、吉野選手は防波堤中央から先端にかけてそれぞれのゲームを展開中。そのなかで、船道のカレントを探っている安田選手が順調にバイトを引き出しています。なかなかフッキングに至らないものの、ヒットすれば良いサイズのアイナメ。その状況を横で見ていた加我選手は先端へと移動し、外洋向きをロングキャストで探り始めます。すると早々にロッドが大きな弧を描きます。良型のアイナメをキャッチし、さらに勢いに乗る加我選手。立て続けにもう一匹、良型のアイナメを追加します。今季第2戦で見せた爆発劇を再現しているかのような展開です。
 10:00手前、栄浜漁港に到着。大杉選手、寳福選手の姿があります。大杉選手はこの段階でまだノーフィッシュ。ここからの巻き返しを狙い、移動していきます。一方、防波堤に陣取った寳福選手は根固めブロックと沈み根が複合的に絡んだポイントを丁寧に攻め、リミットメイクをし、さらに入れ替えをしながらウエイトを伸ばしている状況。本人の見立てではトータルウエイトは2kg弱。しばらくすると石本選手が隣にエントリーします。根固めブロック攻略を得意としている石本選手。石本選手もこの時点では2kg前後。よく似たスタイル、よく似たウエイトをキャッチしている二人が並ぶ面白い展開に。その後が気になりつつも、我々は落部漁港へと戻ります。11:00頃、本部近くに甲谷選手、甲森選手、高橋真那斗選手の姿が見えます。3選手とも、港内を丁寧に探りながら釣り歩いています。高橋真那斗選手に話を聞くと、朝の早い段階でビッグフィッシュを3回ミスしてしまい、メンタルを立て直すのに苦戦中。まだノーフィッシュと苦しんでいます。昨季はその勝負強さでアングラーオブザイヤーを獲得した高橋真那斗選手。ストップフィッシングまで気持ちを立て直し、良い魚を持ち込みたいところ。甲谷選手はリミットメイクし、入れ替えを狙っています。防波堤先端付近には大杉選手と高橋覚選手の姿があります。高橋覚選手はまだノーフィッシュ。残り一時間とストップフィッシングが迫るなか、起死回生のラッシュを期待したいところ。


 ストップフィッシングとなる13:00。本部前に設置した検量場に全選手が無事に帰着します。周囲には、北海道ツアーをともに戦い、今大会には惜しくも出場できなかった北海道ツアー選手たちが多く駆け付けるなか、キーパー1匹の選手、2匹の選手、そしてリミットメイクした選手という順で検量をしていきます。結果、19名中17名がウエイイン。検量が進むにつれ、歓声や溜息が混ざり合います。
 今回、検量後に落部漁協様から「ホタテおこわ弁当」を選手、ギャラリーのみなさんに提供いただきました。緊迫した試合を終えて一息ついた選手たち、試合を見守ったギャラリーのみなさんがおいしい昼食に舌鼓を打ちながらしばし語らいます。
 そして、いよいよP.O.C.マスターズクラシック2025北海道覇者、そしてP.O.C.スーパーロックフィッシュ2025クオリファイ選手が出揃います。

TOP3

順位 氏名 重量(g)
1 加我 強至 3220
2 安田 将耶 2710
3 石本 眞那斗 2610

優勝 加我 強至

アイナメ×3匹 トータルウエイト3,220g

コメント:このエリアは今大会をきっかけに初めて触った。プラクティスは1回実施。プラクティスで出たような魚が大会中にでればいけると思ってはいたが、1位は想定以上の結果だった。フライトNo.は8番。プラクティスで良かった東野漁港へ向かった。外防波堤先端付近にエントリー。内向きをスイッチオントレーラー(011 ソリッドブラック)の42gフリーリグを遠投して探り、早々に30cmクラスのアイナメをキャッチ。その後、先端の外向きに移動。前週、先端部は工事が入っていたので、その間、誰も触っていないだろうと考えての移動。先端から外向きを広角に探るなかでピンスポットを見つけ、カーブフォールでアプローチし40cmクラスのアイナメをラッシュ。全部で6~7匹釣り、2回の入れ替えをして、最終的なスコアまで伸ばしていった。ラッシュしたときのルアーは、エコギア熟成アクア バグアンツ2”(J19 茶ガニ)の42gフリーリグ。その後、ラッシュは落ち着き、10時過ぎにはバイト数は減って、当たっても乗らないバイトへと変わっていった。

タックル

ロッド: 9’10”スピニングロッド
ルアー&リグ: スイッチオントレーラー(ノリーズ)、エコギア熟成アクア バグアンツ2”(エコギア) + 42gフリーリグ

 

2位 安田 将耶

アイナメ×3匹 トータルウエイト2,710g

コメント:土地勘は無く、プラクティスも3時間ほどしかできない状態で今日をむかえた。フライトNo.は6番。プラクティスで魚を触れた東野漁港へ向かった。外防波堤の先端から100mほど入ったストレッチにエントリー。プラクティスで良かった岸壁際のライトリグアプローチが今回は反応なし。船道側のカレントが動いていたので流れのなかを狙うプランに変更。7gビフテキリグからスタートし、最終的には14gビフテキリグに。ルアーは、エコギア熟成アクア バグアンツ2”(J19 茶ガニ)。ボトムをショートストロークのズル引きで探り、9:00頃からラッシュしてリミットメイクした。ただ、500~600gの魚を入れ替えたく、防波堤内を小移動。ミノーM(159 カタクチ)の3.5gビフテキリグをショートキャストし、ボトムをズル引いて40cmほどの雌アイナメをキャッチするも入れ替えできず。その後、もう1匹キャッチして入れ替えに成功。100gほど上乗せしてフィニッシュとなった。スーパーロックフィッシュクオリファイは素直にうれしい!

タックル

ロッド: 6’10”スピニングロッド
ルアー&リグ: エコギア熟成アクア バグアンツ2”(エコギア) + 14gビフテキリグ

タックル

ロッド: 6’03”スピニングロッド
ルアー&リグ: ミノーM(エコギア) + 3.5gビフテキリグ

3位 石本 眞那斗

 

アイナメ×3匹 トータルウエイト2,610g

コメント:3回行ったプラクティスで、東野漁港の外防波堤内側に大型の雄アイナメが多く入っていることに気がついていた。フライトNo.は5番。向かった先は東野漁港外防波堤。岸壁際を縦のゲームで探り、20~30分でリミットメイクするも、サイズが38cm止まり。ルアーは、3-1/2”レディーフィッシュ(029 スモークプロブルー)の7gビフテキリグ。足元に落としてフォールで喰わせるという展開。サイズアップを目指し、横のゲームに切り替えてみると、バイトが増えた。ルアーは、F-エスケープチビツイン(351 バンドウカワエビ)。リグは7gビフテキリグ。岸壁際を並行にズル引きして1kgクラスのアイナメをキャッチ。入れ替えに成功した。その後、落部漁港に移動。外防波堤の足元にある基礎の穴撃ちゲームにシフト。9:30頃、2-1/2”パドチュー(317 ライトグリーンパンプキン ブルーFlk.)の7gビフテキリグでさらに入れ替えすることができた。一昨年、昨年と2年連続でスーパーロックフィッシュ2位と悔しい思いがあるので、まだ手にしていない唯一の称号を今年こそは獲りたい!

タックル

ロッド: 6’10”ベイトキャスティングロッド
ルアー&リグ: 3-1/2”レディーフィッシュ(ノリーズ)、2-1/2”パドチュー(ノリーズ) + 7gビフテキリグ

タックル

ロッド: 6’08”スピニングロッド
ルアー&リグ: F-エスケープチビツイン(ノリーズ) + 7gビフテキリグ

 

総評

 パワーオーシャンカップの長い歴史のなかで初の開催となった「落部」を舞台にした今大会。オフリミット前の好調だった釣況から一変し、スポーニングに絡んだ大型のアイナメたちはポジションを変え、反応も極めてシビアな状態に仕上がってしまったなか、いかにして表彰台を確実なものとするハイスコアを築き上げていくのか…マスターズクラシックらしい選手の技術、メンタルが徹底的に試される一戦となりました。P.O.C.スーパーロックフィッシュ2025のクオリファイを目指して、制限時間ぎりぎりまで力を出し切って戦った選手達。非常に見応えのある素晴らしいゲームでした。
 今大会を終え、POWER OCEAN CUP SUPER ROCK FISH 2025の北海道代表の座を勝ち取ったのは上野孝勇貴選手、加我強至選手、安田将耶選手、石本眞那斗選手の4名。ノースロックフィッシュトーナメンターの天辺を目指し、頂上決戦の舞台でも大いに暴れてほしいと思います。
 今大会を開催するにあたり、会場を快くお貸しいただいた落部漁業協同組合様へ。職員の皆様には早朝より運営のお手伝いまでしていただき、さらには昼食やご協賛までいただくなど、多大なるご協力を賜り、深く感謝申し上げます。また、選手たちを温かく見守っていただきました漁業関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。
 最後に。漁港は漁業者の方々の職場です。釣りをする際や駐車するときは、声を掛けて確認し、マナーを守って釣りを楽しむように心がけてください。また、アイナメは、本格的なスポーニングシーズンの最中です。ファイト、ランディング、撮影、リリースなど、日頃釣りをするなかで魚のケアにはより一層気をつけていただけたら幸いです。これからもノースロックフィッシュゲームを楽しむためにご協力よろしくお願い致します。

結果


4位 上野 孝勇貴

5位 対馬 大湧

6位 田川 孝男

7位 寳福 一也

8位 鈴木 侃

9位 甲谷 辰徳

10位 細井 雄一

11位 梅津 昌樹

12位 大杉 和洋

13位 吉野 崇憲

14位 口岩 美夏

15位 赤澤 恒平

16位  甲森 孝太

17位 岩井 元
順位氏名重量(g)P.O.C. SUPER ROCK FISH 2024 出場権
1 加我 強至3220 P.O.C. MASTERS CLASSIC 2025 北海道1位により獲得
2 安田 将耶2710 P.O.C. MASTERS CLASSIC 2025 北海道2位により獲得
3 石本 眞那斗2610 P.O.C. MASTERS CLASSIC 2025 北海道3位により獲得
4 上野 孝勇貴2480 P.O.C. 2025 北海道ツアー アングラーオブザイヤーにより獲得
5 対馬 大湧2400  
6 田川 孝男1920  
7寳福 一也1830  
8鈴木 侃1610  
9甲谷 辰徳1460  
10細井 雄一1310  
11梅津 昌樹1250  
12大杉 和洋1250  
13吉野 崇憲1200  
14口岩 美夏1190  
15赤澤 恒平1070  
16甲森 孝太800  
17岩井 元290  
18高橋 覚0  
18高橋 真那斗0

※P.O.C.マスターズクラシックでは、複数の選手が同重量(ノーフィッシュを除く)の場合、年間ポイントランキングの高い順で上位とします。

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