第204回 POWER OCEAN CUP SUPER ROCK FISH 2024

第204回 POWER OCEAN CUP SUPER ROCK FISH 2024 北海道・森 ロックフィッシュ

 熾烈なパワーオーシャンカップトーナメントツアー北海道、東北を勝ち抜いた猛者が相まみえるロックフィッシュトーナメンターの頂上決戦「POWER OCEAN CUP SUPER ROCK FISH」。去る2024年12月15日(日)、2024シーズンを締めくくる「POWER OCEAN CUP SUPER ROCK FISH 2024」を開催しました。
2024年の決戦の舞台として選んだのは「北海道・森」。過去P.O.C.マスターズクラシックやツアー戦で度々競技エリアとなってきた実績高いフィールドで、道南噴火湾のなかでも屈指のメジャーエリアです。今回は森漁港と尾白内漁港の2港の指定エリア内でのバトルとなります。

 クオリファイメンバーは北海道4名、東北4名の総勢8名。北海道代表は、P.O.C.2024北海道アングラーオブザイヤー・高橋真那斗選手、P.O.C.マスターズクラシック2024北海道優勝・石本眞那斗選手、2位・対馬大湧選手、3位・白針清志選手。東北代表は、P.O.C.2024東北アングラーオブザイヤーおよびP.O.C.マスターズクラシック東北2024優勝・久保修一選手、2位・小田島海斗選手、3位・川村雅直選手、そして久保選手の権利重複により繰り上げでのクオリファイとなった4位・伊藤一志選手という顔ぶれ。成長著しい若手から百戦錬磨のベテランまで、2024シーズンを勝ち抜いた錚々たるメンバーが出揃いました。また、8名のうち半数の4名が昨年のP.O.C.スーパーロックフィッシュにも勝ち上がったメンバーという異例さ。2年連続でのスーパーロックフィッシュ出場はトーナメンターとしての強さの裏付けとも言えるでしょう。このなかから“2024年・ノースロックフィッシュトーナメンター最強”の称号を手にする一人が決まります。
 決戦前日、競技エリアの最終確認をした後、程近い競技エリア外の漁港に立ち寄ってみると、東北代表・小田島選手、川村選手の姿があります。P.O.C.スーパーロックフィッシュでは出来る限りのイコールコンディションでの競技を目指し、競技エリア内のプラクティスを禁止しています。土地勘がない東北の選手としては、競技エリア外の近場の港で海の感触を確かめ、翌日の戦略を固めていきたいところ。また、北海道代表の石本選手も午前中、彼らと同じ港で状況確認していたと後々知ることになります。大会前日から既に戦いは始まっています。そしてその夜、選手間の交流を深めるために、函館にてレセプションを開催。選手達はお互いライバルという関係ではありますが、同じロックフィッシュゲームを探究し続ける者同士、自ずとロックフィッシュ談義に花が咲きます。楽しい時はあっという間に過ぎ、頂上決戦の日に向けて夜は更けていきます。

 今大会の競技エリアとなるのは森漁港と尾白内漁港。この2港は、横並びで繋がっており、東西方向に横長に広がる位置関係です。どちらも水深は全体的に深くなく、底質は砂泥が中心。防波堤や岸壁の足元、スロープ周辺には敷石や根固めブロックが入っています。港内は小規模ながら障害物や海藻が点在しており、それらも重要なポイントの一つとなります。いわゆる道南噴火湾の漁港らしいシチュエーションです。例年であればスポーニングに絡んだアイナメが港内にも多く入り、アフタースポーンに差し掛かった大型の雌アイナメがキッカーフィッシュとなる想定。しかし、今季は同エリアの浅場に差している個体数が例年にくらべると少ない様子。それに輪をかけて、ここ一週間ほどで急激に冬へと季節が進行し、魚の動きが益々掴みづらい状態に発展しています。難しい試合展開となりそうな予感です。

 

 5:30、ホテルのロビーに集まり、それぞれ会場となる森へと向かいます。ここでまたしても想定外に見舞われます。ホテルの外にでると、そこには一面の銀世界が拡がります。前日までの天気予報は残念ながら外れ、夜半から雪が断続的に降っています。地面には数cm積もっているため、路面凍結に気をつけながら森へと向かいます。
 森漁港に到着後、ミーティングとタックルチェックを行います。気温は-2℃。風はあまりありません。雪が舞い落ちるなか、当初予定より若干遅れて7:10、いよいよフライトコール。全選手が思い思いのポイントへと散っていきます。ストップフィッシングは13:00。選手にとっては長くて短い一日が始まります。
 12/15の潮回りは大潮。満潮4:52、干潮7:44、満潮13:46というタイドスケジュールで、干満差は少なく、競技時間中は高めの潮位となります。(基準:森、気象庁発表)。
フライト後の各選手の布陣は下の通り。(数字はポイント図を参照)

 ③:久保選手
 ⑦:小田島選手
 ⑨:石本選手
 ⑩:白針選手
 ⑪:川村選手
 ⑫:伊藤選手
 ⑭:高橋選手、対馬選手

 開始早々からゲームは動きます。尾白内漁港⑩に入り、近距離を丁寧に探っていた白針選手がシマゾイをキャッチ。対岸の⑭に入っていた高橋選手も近距離戦を展開し、アイナメをキャッチしています。足元の根固めブロック周辺を探る冬モードの展開でいち早くリードします。その後、川村選手が⑩へと移動し、遠投ゲームを展開。すると早速ロッドが曲がります。上がってきたのはカレイ。ひとまず魚の活性はありそうなので、次こそはアイナメと探り続けます。⑭付近に展開していた対馬選手は、早々に港内ラン&ガンに移行します。尾白内漁港内を動きながら、各所を丁寧に中~近距離戦で探っています。8:00前、森漁港⑨にエントリーしていた石本選手のもとに行くと、既にアイナメを1匹キャッチしています。最初からこのポイントに狙いを絞っていた石本選手。バイトは続いており、順調なスタートを切っています。8:30過ぎ、北西風がにわかに吹き始め、雪もどんどん大粒になっていきます。森漁港内を積極的に動いていた久保選手は尾白内漁港へと移動します。尾白内漁港では対馬選手が1匹、アイナメをキャッチした模様。⑭に展開していた高橋選手は順調に2匹目を釣り、スコアを伸ばしています。

 9:30の段階での各選手の釣果は下の通り。

 ■3フィッシュ:石本選手、高橋選手
 ■2フィッシュ:川村選手
 ■1フィッシュ:伊藤選手、小田島選手、白針選手、対馬選手
 ■ノーフィッシュ:久保選手

 森漁港⑨で勢いよくリミットメイクした石本選手。9:30の段階で既にトータルウエイト2kgを超えていると思われます。9:40頃、同ポイントに川村選手がエントリーします。そこから試合の流れが変わり始めます。エントリーして間もなく、川村選手が良型のアイナメをキャッチ。続けて、もう一匹アイナメをキャッチします。あっという間にリミットメイク、入れ替えという状況。ちょうどその時、対岸の③で遠投ゲームをしていた小田島選手はその状況を察知し、意を決して⑨へと移動していきます。同じ③に展開していた伊藤選手は、得意のスタイルである中~近距離戦を続け、足元付近のわずかな水深変化を見逃さずに立て続けでカジカをキャッチ。惜しくも対象魚ではありませんでしたが、徐々にゲームを掴み始めている様子。この後しっかり釣ってきそうな流れを感じます。
 10:00、尾白内漁港⑭にいた高橋選手が⑪に移動しています。入れ替えを狙って、大型がついていそうなスリットをピンポイントで狙い撃ちしています。⑩に目を向けると久保選手がエントリーしています。良型のエゾメバルをキャッチし、ようやくノーフィッシュの呪縛から解き放たれ安堵の表情。その後、久保選手は森漁港⑧まで一気に動きます。 10:30過ぎ、⑧に久保選手、対馬選手、対岸の⑤に伊藤選手、そして高橋選手の姿があります。奇しくも中近距離戦を得意とするメンバーが、示し合わせたかの如くこの狭いエリアに集結。全体的にバイトが少ないなかで、何とか次の一匹を探しています。

 11:00過ぎ、森漁港⑨の様子を見に行きます。P.O.C.スーパーロックフィッシュ連覇を目指す小田島選手は2匹のキーパーをキャッチしています。⑨エントリー直後に怒涛の連発劇をした川村選手は、その後も順調に入れ替えを繰り返している模様。一方、朝一に入っていた石本選手はゲームを変えるべく、別のポイントへと移動していました。それから森漁港を回っていると、⑦付近で対馬選手とすれ違います。話を聞くと無事リミットメイクに成功したとのこと。キッカーフィッシュを求めて引き続き積極的なラン&ガンを繰り返しています。②へ向かうと伊藤選手がロッドを振っています。2匹のキーパーをキャッチしており、こちらもリミットメイク目前まで追い上げています。①付近に高橋選手、⑥に久保選手の姿があります。各選手の動きがますます激しくなっていきます。検量準備をする前に最後、尾白内漁港をもう一度チェックしに向かうと、⑭に石本選手、白針選手の姿を見つけます。石本選手は入れ替え、白針選手はリミットメイクを目指し、攻めの姿勢でロッドを振り続けています。キッカーフィッシュさえキャッチできれば一気に上位…そんな状況だけに、最後の最後まで緊張感のある非常に締まった試合展開になっています。まだまだ各選手のゲームを見届けたいという気持ちを抑えながら、検量に向けて本部へと戻ることにします。
 13:00。ギリギリまでゲームをしていた8名の猛者が本部に集います。そして、一人ずつ運命の検量が始まります…

優勝 川村 雅直

アイナメ3匹 2,650g

【comment】
今日は遠投ゲームをメインに組み立てようと思っていた。
まず初めに向かったのは、尾白内漁港⑪。船道を軽く探りながら⑩へ移動していった。⑩でまずカレイをキャッチ。ルアーは、リングマックス パワーオーシャン3"(434 アボカドチャートハーフフロート)の56gTGビフテキリグ。その後すぐ1匹目となる35~36cm程のアイナメをキャッチした。アクションはズル引き。反応が無くなったので、森漁港⑨へ移動。2-1/2”パドチューの21gビフテキリグを対岸の防波堤に向けてキャスト。ズル引きで船道の真ん中あたりで止めた時にバイトがあり、それが35~36cm程のアイナメ。その後も2~3投に1回はバイトがある状態が続いた。リグをボトムに引っかけ、外れない程度にシェイクし、ステイしたタイミングでバイトを獲ったのが40cmクラス後半の魚。その次のキャストでも良型をキャッチし、入れ替えに成功した。その後は対岸の際でも、船道の真ん中でもバイトあり。1匹釣ったら2-1/2”パドチューのカラーをチェンジして釣っていった。はじめは442(カバードーン)や317(ライトグリーンパンプキン ブルーFlk.)などの濃いめのカラー。最終的には534(プロフェッショナルブルー)が、バイトが弱くなったタイミングで最も反応を得られた。ステイする時間も最終的には5~10秒ほど止めていないとバイトが出なかった。このポイントで計10匹以上釣ることができた。最近の試合は不調が続いていたので、久しぶりにミス無く良いゲームができた。

【tackle】

ロッド: 9’11”スピニングロッド
ルアー&リグ: リングマックス パワーオーシャン3"(エコギア)、2-1/2”パドチュー(ノリーズ) + 42gビフテキリグ

2位 石本 眞那斗

アイナメ3匹 2,310g

【comment】
競技エリアが森とわかった段階で、朝一から森漁港の⑨に入ると決めていた。まず、フラットに魚がいるかどうかをチェックしたかったので、リングマックス パワーオーシャン3”の42gビフテキリグをキャスト。3投目くらいに良いバイトを得たがフッキングに至らず。その後、手前をチェックすべく、ベイトタックルに持ち替えて足元に沈む消波ブロックの隙間を探る。2-1/2”パドチュー(317 ライトグリーンパンプキン ブルーFlk.)の10gTGビフテキリグを隙間に入れて、シェイク&ステイで1匹目の40cmあるなしのアイナメをキャッチ。さらに、少しキャストをして消波ブロックと砂地の境界を探り、2匹目をキャッチ。それから、対岸の防波堤際をエコギア熟成アクア バグアンツ2”(J03 青イソメ)の14gTGビフテキリグで狙い撃ちし、基礎の穴にルアーを入れないように探ったところ良いサイズのアイナメをキャッチすることができた。その後、遠投で何匹が釣ったが、入れ替えできるようなサイズは出ず。35~36cmの魚をどうしても入れ替えたいので、尾白内漁港へと移動。⑪、⑭で近距離の根固めブロックの隙間を撃った。⑭で良いバイトを得たが残念ながらバラしてしまった。
正直悔しい!昨年のスーパーロックフィッシュも2位。来年こそは三度目の正直で優勝したい!

【tackle】

ロッド: 6’06”ベイトキャスティングロッド
ルアー&リグ: 2-1/2”パドチュー(ノリーズ) + 10gビフテキリグ

【tackle】

ロッド: 8’06”スピニングロッド
ルアー&リグ: エコギア熟成アクア バグアンツ2”(エコギア) + 14gビフテキリグ

3位 高橋 真那斗

 

アイナメ3匹 1,580g

【comment】
ひとまず嬉しい!森は割と慣れたフィールド。朝一は、サイズを問わずまずは魚を獲れるだけ獲りたい、一旦気持ちを落ち着けて安心したいという考えで、尾白内漁港⑭に向かった。入って早々、反応は良い状態。しかし、フッキングまで至らない。時間的ももう少し後か?と思いながら、2-1/2”パドチューとエコギア熟成アクア バグアンツ2”(J19 茶ガニ)をローテーション。スティックシンカー10~14gのフリーリグで根固めブロックの隙間を狙った。これで1匹目をキャッチ。その後、対岸の⑩へ移動するも反応が悪いので、再び⑭へ。2投連続で40cmクラスを立て続けにキャッチすることができた。ともに、根固めブロックの隙間にリグを落とし、着底後にラインを張ったら喰っているという感じだった。11:00過ぎ、森漁港①へ移動。遠投にシフトし、沖に点在する根を探る。ルアーは2-1/2”パドチュー(133 グリーンパンプキン ブラックFlk./ウォーターメロン レッド+グリーンFlk.バック)の42gフリーリグ。着底後、ジャーク気味に引いて、2ストローク目くらいにコンッと良いバイト。それが今日二番目に良いサイズのアイナメで入れ替えに成功した。2025年は優勝を獲りに行く!

【tackle】

ロッド: 7’03”ベイトキャスティングロッド
ルアー&リグ: エコギア熟成アクア バグアンツ2”(エコギア)、2-1/2”パドチュー(ノリーズ) + 10gフリーリグ

【tackle】

ロッド: 9’06”スピニングロッド
ルアー&リグ: エコギア熟成アクア バグアンツ2”(エコギア)、2-1/2”パドチュー(ノリーズ) + 42gフリーリグ

4位 伊藤 一志

アイナメ2匹 1,550g

5位 対馬 大湧

アイナメ3匹 1,340g

 

6位 小田島 海斗

アイナメ3匹 1,220g

7位 白針 清志

アイナメ1匹、シマゾイ1匹 920g

 

8位 久保 修一

クロソイ1匹、エゾメバル1匹 360g

 

P.O.C. SUPER ROCK FISH 第8代王者は、川村雅直選手!!

 “2024年・ノースロックフィッシュトーナメンター最強”の称号を手にしたのは、東北代表・川村雅直選手。アウェイの北海道でもブレることなく自身のゲームスタイルを貫き通し、他の強豪との競り合いを制して表彰台の真ん中を勝ち取りました。丁寧なアプローチ、繊細な誘い、積極的なカラーローテーションなど、妥協のないロングディスタンスゲームが光った見事な勝利でした。

P.O.C. SUPER ROCK FISH 2024を振り返り・・・

 北海道ツアー205名、東北ツアー203名が参戦したパワーオーシャンカップ2024。年々参加者は増え、盛り上がりを見せるなか、熾烈なツアー戦、マスターズクラシックで勝利する難しさもまた増しています。その舞台を勝ち抜き、最終決戦へと勝ち上がった8名のロックフィッシュトーナメンター。容赦なく降りしきる雪のなかでも集中力を切らすことなく8名全員がそれぞれのゲームスタイルを貫き、全身全霊をかけて海、そして魚と向き合う姿に、彼らのトーナメンターとしての強さ、そしてロックフィッシュゲームに対する情熱を感じた大変見応えのある頂上決戦となりました。
 今大会開催にあたり、会場をお貸しいただきました森漁業協同組合様、ホテル函館ロイヤルシーサイド様、大会を快く受けて入れていただました森、尾白内の漁業者の皆様に心より感謝申し上げます。そして、パワーオーシャンカップ2024にご参加いただきました全選手の皆様に深く御礼申し上げます。これからも大会を通じて、ロックフィッシュゲームの魅力、「SAVE THE FISH」の想いをより多くのアングラーに伝えられるよう歩み続けて参ります。来シーズンも皆様からのエントリーをスタッフ一同、心よりお待ちしております。
 最後にアングラーの皆様へお願いがあります。漁港は漁業者の方々の職場です。作業の迷惑にならないよう、指定された駐車スペースに車を停める等、マナーを守り、周囲に注意を払いながら声を掛け合ってゲームをしていただきますようお願い申し上げます。