第186回 POWER OCEAN CUP SUPER ROCK FISH 2022
第186回 | POWER OCEAN CUP SUPER ROCK FISH 2022 | 北海道・福島漁港 | ロックフィッシュ |
熾烈なパワーオーシャンカップトーナメントツアー北海道、東北を勝ち抜いた猛者が相まみえるロックフィッシュトーナメンターの頂点決戦「POWER OCEAN CUP SUPER ROCK FISH」。去る2023年4月23日(日)、2022シーズンの決勝となる「P.O.C. SUPER ROCK FISH 2022」を北海道・福島漁港にて開催しました。コロナ禍による中断期間を経て、約三年ぶりとなるスーパーロックフィッシュの開催。ロックフィッシュアングラーの夢の舞台が再び帰ってきました。 当初、パワーオーシャンカップの原点である函館沖防波堤での開催を企画していましたが、残念ながら前日から強く吹きつける西風の影響で断念。振り返ると過去にも二度、函館沖防波堤でのスーパーロックフィッシュ開催を企画するも、やはり天候不良により渡れず。今回は季節を冬から春にシフトして臨んだものの、またしても天候に拒まれる結果となりました。代替競技エリアとして、スーパーロックフィッシュ2017を開催した福島漁港での開催に変更。函館市街から南西方向に70kmほど離れた位置にある大規模な漁港です。 |
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クオリファイメンバーは、北海道代表4名、東北代表4名、ゲストアングラー2名の総勢10名。北海道代表は、P.O.C.2022トーナメントツアー北海道アングラーオブザイヤー・寳福一也選手、P.O.C.マスターズクラシック2022北海道優勝・三上顕太選手、同大会準優勝・口岩毅人選手、同大会3位・近間康平選手。各戦で常に上位に名を連ねる百戦錬磨の顔ぶれです。一方、東北代表は、P.O.C.2022トーナメントツアー東北アングラーオブザイヤー・小林拳人選手、P.O.C.マスターズクラシック2022東北優勝・藤原朋樹選手、同大会準優勝・鈴木隆ノ介選手、同大会3位・坂本広宣選手。熾烈な東北ツアーのなかで成長著しい若手メンバーが揃いました。ゲストアングラーは、田辺哲男プロ、折本隆由プロのプロフィッシャーマン2名。決勝常連の強豪、勢いに乗る新世代、シーンを長年牽引するプロフィッシャーマンが“最強ロックフィッシュトーナメンター”の称号を懸けて戦います。 決戦前夜、選手間の交流を深めるため、函館にてレセプションを開催。選手にとってホームエリアが北海道、東北と違いはあるものの、同じロックフィッシュを追う者同士、意気投合し、話が弾みます。共通することもあれば、まったく違うアプローチもある…この機会をきっかけにしてそれらが融合して、それぞれの地で新たなゲームが広がっていく…そんな可能性を感じることができた有意義な一時となりました。また、田辺プロ、折本プロからは、未来のロックフィッシュシーンを見据え、アングラー一人一人がそれぞれ取り組むべきこと、そしてスーパーロックフィッシュの舞台まで勝ち進んだ選手がシーンを引っ張り、伝えていって欲しいとの話がありました。終始、ロックフィッシュの話題に花が咲き、楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。 |
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今大会の舞台となる福島漁港は、松前郡福島町にある大型の漁港。南北に約700m強広がり、形状も入り組んでいて複雑。異なるロケーションを利用して、様々なアプローチで攻めることができるのが魅力です。また道内において、早春にいち早くロックフィッシュシーズンが開幕するのもこのエリアの特徴。ハイシーズンにはまだ早いこのタイミングでも十分、釣果を期待できます。 フライト直後の各選手の布陣は下の通り。 |
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開始して間もなく、港奥中央に展開していた口岩選手、港中央エリアにエントリーしていた坂本選手、田辺プロらが魚をキャッチ。順調にゲームの駒を進めています。南エリアに照準を絞っていた小林選手は、バイトは捉えたもののキャッチできず。中央防波堤先端に陣を構えた折本プロも小林選手同様、バイトはあれどキーパーのキャッチには至らず。一際目立つ動きをしていたのが鈴木選手。南防波堤からゲームを始めたかと思うと、そこから一筆書きのように全エリアをスピーディーに歩き回っています。足元の岸壁を、巻きのゲームで探っている様子。8:15には北防波堤までぐるっと一周してしまいます。機動力もまた武器と再認識する一幕でした。朝の早い段階で頭一つ抜け出したのが口岩選手。一時間足らずでアイナメ3尾でリミットメイクに成功。遠投ゲームで広範囲を探り、スコアを築いていきます。坂本選手もほぼ同じタイミングで2尾目までキャッチ。田辺プロも丁寧にボトムの変化を探り、早い段階で2尾目まで揃えています。北防波堤に入っていた藤原選手も1尾をキャッチし、朝の時合いをうまく掴んだ複数の選手がキーパーをキャッチしています。一方、折本プロ、小林選手、鈴木選手、近間選手、寳福選手、三上選手らは朝の一時間では魚を手にしていません。ここからゲームをひっくり返す選手が出てくるのか?はたまた朝のリードを守り切ってフィニッシュできるのか?ストップフィッシングの13:00まではたっぷりと時間があります。 |
8:00過ぎ、岸壁を中心に探りながら各エリアを一通り回っていた鈴木選手が、北防波堤で足を止め、ロングロッドに持ち替えて広範囲を探り始めます。ここで1尾目のキーパーをキャッチすることに成功。一方、8:30を過ぎた頃から朝のバイトラッシュが徐々に落ち着きはじめ、それと入れ替わるようにホッケのバイトが増えていく状況となり、各選手のスコアがにわかに停滞し始めます。そんな局面で、じわじわと自分のゲームを掴み始めたのが三上選手。港奥北側でキーパーをキャッチし始めます。周囲の選手の動向に左右されず、自分のゲームを貫きながらスコアを着実に伸ばしていく姿に、百戦錬磨のメンタルの強さが光ります。 10:00の時点での各選手の釣果は下の通り。 各エリアを撃ちながら、北防波堤の先端に陣を張った近間選手。ここまでノーフィッシュと出遅れるなか、ここからの逆転を狙い自分のゲームを組み立て直していきます。10:30頃からバイトを取り始め、キーパーをキャッチしていきます。ほぼ同じ頃、南エリアで粘っていた小林選手も1尾目のキャッチに成功。そして、自分のゲームを貫いていた三上選手がリミットメイクに到達します。勝負の行方はまだわかりません。 |
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11:00過ぎ。朝の段階で早々に一人、リミットメイクに成功し、試合を優位に進めていた口岩選手。各エリアをしきりに移動して、スコアアップを狙っています。その積極性が功を奏して1尾、入れ替えに成功している模様。さらなる入れ替えを目指し、めぼしいポイントをラン&ガンしていきます。12:00前、鈴木選手が2尾目をキャッチし、激しい追い上げを見せます。“最強ロックフィッシュトーナメンター”の称号を手にするため、最後まで手を緩めることなく集中して戦い続けます。そして13:00、運命を決めるストップフィッシングの時刻を迎えます。 |
優勝 三上 顕太
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アイナメ2尾、クロソイ1尾 3,560g 第6代P.O.C. SUPER ROCK FISH 王者の座を掴んだのは、自身2度目のスーパーロックフィッシュ制覇となる三上顕太選手。2度のスーパーロックフィッシュ制覇は、前人未到の快挙です。スタート序盤は周囲の選手とくらべ釣果的に出遅れた感こそあったものの、本人はその状況にまったく焦ることなくマイゲームを貫き通し、地形や水色、海中の変化やベイトの状況を丁寧に把握し、狙うべき魚のポジションを掴みながら、最終的には他を圧倒するビッグウエイトを築き上げての完全勝利でした。 【comment】 魚が多い少ないに関わらず、自分の理想とするゲーム、自分が見せたいゲームで勝ちたいと今回の大会に強い気持ちで臨んだ。十数年前に一回来たことがあるだけで、ほぼ初見のフィールド。初見のフィールドに立った時と同じ手順で、まず中間的な水深のエリアからスタートしようと、港中央部にある張り出した埠頭にエントリー。フラチャット14g+5.8”レディーバランスで足元を中心に巻いていく。反応が無かったので3-1/2”レディーフィッシュの14gビフテキリグのリーリングゲームにスイッチ。ただ、今日は感覚的に巻き感が少し抜けすぎてしまう感触だったので、10gにウエイトを軽くして、ルアーもエスケープチビツインに変更。強すぎないでいて、ボリュームが適度にあるチビツインがこういう時にマッチ。リーリングで1回バイトは得られたが、意図しないタイミングでのバイトだったので、今は違うのかな?とポイントを移動。どちらかと言うとクリアウォーターが苦手なので、港奥北側のシャローエリアに入ってみる。潮も引いていて干上がり気味な印象はあるものの、水色は悪くなく、岸際には小さなベイトフィッシュもいた。敷石とウィードが絡むスポットを、エスケープチビツインの10gビフテキでリーリングして探る。ウィードにスタックしすぎないようスピードを意識しながら通すと、小さなバイト。フッキングには至らなかったが、良い感触。そして8:30頃、このパターンで40cmクラスのアイナメをキャッチ。こういう時は、小さなバイトがあっても巻き切ることが深いバイトに繋がる。その後、同パターンでウグイを1尾キャッチ。経験的にウグイが釣れるときは得てして悪くないというイメージ。そのゲームを続け、40cmクラスのアイナメ、さらには40cmクラスのクロソイを引き出すことに成功。全て同じリグ、同じアプローチ。これならフラチャットゲームもいけるのではと思い、また釣った魚がイカを吐いたため、ルアーのボリュームを意識してフラチャットネイキッド12g(HN03 ライブワカサギ) + フラバグ(378 スモーキンシャイナー)にスイッチして再アプローチ。排水が絡むスポットのボトムギリギリをトレースして今日一となるサイズのアイナメをキャッチし、入れ替えに成功した。トータルウエイト3kgを超えたいと思っていたのでそれは達成できた。 【tackle】
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2位 口岩 毅人
アイナメ3尾 2,630g P.O.C. SUPER ROCK FISH 2022準優勝は、北海道代表・口岩毅人選手。P.O.C.マスターズクラシック2022北海道準優勝に続き、今大会も見事、準優勝を獲得。参加選手のなかで最も早くリミットメイクすることに成功した後も、アグレッシブにスコアアップを目指して攻めのゲームを展開していった口岩選手。最後の最後にスコアを押し上げる貴重な1尾を手にし、準優勝を確定づけました。 【comment】 一等地を撃ちながら足で探っていくプランで臨んだ。また、漁港横に河口があるため、雪代の影響をできる限り受けにくいエリア、河口から遠いエリアを中心に考えた。まず、港奥部にエントリー。得意の2-1/2”パドチュー(353 グリーンパンプキンリアクション)の35gビフテキリグでの遠投ゲームで探り始める。一投目、昆布パッチのなかで1バイト。しかしフッキングに至らず。そのスポットを休ませるため、広角に砂地をズル引きで探っていくと幸先よくアイナメ2尾キャッチ。その後、さらに1尾追加し、一時間足らずでリミットメイクに成功。さらなるスコアアップを目指し、大会本部東側の防波堤へ移動。遠投で沖防波堤周辺を探り、1尾を入れ替えた。時間が進む中でも、朝の昆布パッチのなかの1バイトがどうしても気になり、港奥へ移動。違う角度から狙い撃つと、またしてもバイトがあったものの、またしてもフッキングに至らず。しかし、バイトの質から魚が大きいことを確信。朝一の立ち位置に戻り、三度、昆布パッチを撃つことに。ルアーをエコギア熟成アクア ロッククロー2.5”(J08 赤エビ)にチェンジ。リグは35gビフテキリグのまま。そして、朝一からバイトを得ていた魚をようやくキャッチすることができ、二度目の入れ替えに成功した。 【tackle】
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3位 鈴木 隆ノ介
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アイナメ2尾 2,440g 3位表彰台に上ったのは、東北代表・鈴木隆ノ介選手。今大会参加選手のなかで唯一、競技エリアの端から端まで徹底して釣り歩いた鈴木選手。初見となる競技エリアをスピーディーかつ丁寧に探り、ロケーションを的確に把握していきながら自身のゲームを展開していく姿に、熾烈なトーナメントのなかでも結果を出し続ける強さを垣間見ることができました。 【comment】まずはロケーションハンティングをするため、最近マイブームのフラチャットネイキッド12gにストレート3-1/4”をセットしたリグで、岸壁際を中心にチェック。南防波堤からスタートして、港内全体を歩きながらサーチしていく。良い反応が得られず、競技エリアの半分くらいに差し掛かったタイミングでゲームプランを変更。北防波堤に移動し、沖のボトム変化を探る。独自のカットチューンを施したリングマックス パワーオーシャン3”(463 ボトムバーサタイル)を21gフリーリグにセットし、風の方向を見ながらキャスト。ボトムをズル引き&ステイでチェック。底質が硬いスポットを探し、1尾目をキャッチ。そこから二時間ほど同じゲームを続けるも、風がさらに強くなり断念。港奥へと移動。港奥北側でバイトは得られたものの乗せられず。最後に、まだチェックしきれていなかった港奥中央付近にエントリー。12:00手前、待望の2尾目となる1,400g近い魚をキャッチすることに成功した。ルアー&リグは前述のものと同じ。朝は「優勝を目指す!」と言ったものの、3位という成績は素直にうれしい。今後も上の順位を一つずつ目指していきたい。 【tackle】
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4位 坂本 広宣
アイナメ3尾 2,030g 港中央に張り出した埠頭からスタート。スタートから一時間足らずで1尾目、2尾目をキャッチ。その後、港内を積極的にラン&ガンするも12:00近くまでリミットメイクに至らず。朝一にエントリーしていた港中央の埠頭に再エントリー。ここで3尾目をキャッチし、リミットメイクに成功。 |
5位 近間 康平
アイナメ3尾 1,780g 本部周辺から港奥部でスタート。しかしノーフィッシュの時間が長く続く。北防波堤の最先端部に大移動。フォローの風を利用して遠投で沖防波堤周辺を探る。10:00過ぎに1尾目をキャッチ。さらにそこからリミットメイクまで達成。 |
6位 小林 拳人
アイナメ1尾、エゾメバル1尾 1,060g 本部周辺にエントリー。中~近距離を丁寧に探る。スタート直後にバイトがあったもののキャッチに至らず。港の南エリアに照準を絞り、丁寧に探り続ける。本部東側の防波堤から沖防波堤周辺を狙い、良型アイナメをキャッチ。 |
7位 寳福 一也
アイナメ1尾、マゾイ1尾、エゾメバル1尾 860g 本部東側の防波堤からスタート。開始早々からコンスタントに魚を掛けていくも競技対象外のホッケが続く。その後、港内をラン&ガンし、最終的には港奥南側をメインにゲームを展開。 |
8位 藤原 朋樹
アイナメ2尾 840g 北防波堤に入り、港の入口周辺を広角に探る。朝の活性が高い時間帯を有効に使い、2尾のアイナメをキャッチ。その後、バイトが減少していくなかで、結果的にリミットメイクまで至らず。 |
9位 田辺 哲男
アイナメ2尾 780g 港中央の張り出した埠頭にエントリー。朝のバイトが多い段階で2尾をキャッチ。その後、ホッケのバイトはあるものの、アイナメのバイトが遠のき、リミットメイクできず。 |
10位 折本 隆由
本部北側にある中央防波堤先端にエントリー。港の入口周辺を広角に探る。バイトはあるものノンキーパーやホッケ。その後、港中央に移動するも残念ながらノーフィッシュ帰着。 |
P.O.C. SUPER ROCK FISH 第6代王者は、ミカケンこと三上顕太選手!!
前人未到の2度目のP.O.C.スーパーロックフィッシュ優勝を成し遂げた三上顕太選手。三上選手の代名詞といえば“巻き”と“壁”のゲーム。今回は、季節的に他の選手が敬遠したシャローエリアで、“巻き”のゲームを終始展開し、ぶっちぎりの3.5kg超をメイクしての優勝。前夜のレセプションで“自分のゲームをするだけ”と話し、周囲の釣況に影響されることなく、それを徹底して勝ち取った見事な勝利でした。 |
P.O.C. SUPER ROCK FISH 2022を振り返り・・・
北海道ツアー220名、東北ツアー206名のなかから、各ツアーの激戦を勝ち抜いて、頂上決戦・スーパーロックフィッシュの舞台へと辿り着いた強豪8名に、田辺哲男プロ、折本隆由プロを加えた総勢10名のフィッシャーマンが、シーズン初頭の道南・福島漁港で繰り広げた今回のバトル。ハイシーズンとくらべて魚影が明らかに薄い状況下で、どんなゲームを展開して魚をキャッチしていくのか?どうやってハイウエイトを築き上げていくのか?優勝ウエイトはどのくらいになるのか?多くのロックフィッシャーが注目する大会となりました。時合いに左右されやすい春~初夏のロックフィッシュゲームという固定概念を覆し、自分のゲームスタイルを貫徹して自身が求めるタイプの魚を探し出し、勝利を手にした三上選手。状況に合わせて柔軟にアジャストしていくのが鉄則のゲームフィッシングにおいて一見、真逆の戦略にも見えますが、三上選手の展開したゲームをよく注視すると、ベイトの有無や水の色、ストラクチャーや海藻の状況など周囲の環境を細かく把握し、素通りしてしまいそうな小さな変化も見落とさず、手駒となるルアーの特性を考えながら丁寧にゲームを組み立ててアジャストしていました。この時期に、このロケーションで、この魚が…ロックフィッシュゲームにおいて、まだまだ開かれていない可能性の扉があることを再認識することができた一日となりました。
最後に、今大会開催にあたり、ご協力を頂きました関係各位に心より感謝申し上げます。そして、パワーオーシャンカップ2022にご参加頂きました全選手の皆様に、深く御礼申し上げます。ロックフィッシュゲームの魅力、そして「SAVE THE FISH」を、より多くのアングラーに伝えられるよう、これからもパワーオーシャンカップを開催して参ります。皆様からのエントリーをスタッフ一同、心よりお待ちしております。