第157回 POWER OCEAN CUP 2019 トーナメントツアー東北 第3戦 岩手県・大槌/両石湾 リザルト

開催日 タイトル 場所 対象魚
10月27日(日) 第157回 パワーオーシャンカップ2019トーナメントツアー東北 第3戦 岩手県・
大槌/両石湾
ロックフィッシュ

 台風19号、そして10月25日(金)に振りました大雨により被災されました地域のみなさまへ、心よりお見舞い申し上げます。この度、東北ツアー第3戦の開催地となります岩手県沿岸地域でも浸水や崖崩れなど多くの被害が発生致しました。今大会開催にあたり、現地の方々と熟考を重ね、安全に大会を行えるよう競技エリアを見直し、大会の開催へと向かいました。この度、参戦いただきました選手のみなさま、そして開催にあたり多くのご協力をいただきました現地のみなさまに改めまして深く御礼申し上げます。
 全3戦で戦うパワーオーシャンカップ2019東北ツアー。その締めくくりとなる今大会。その結果により、P.O.C.マスターズクラシック2019東北への出場メンバー、そして2019東北ツアーの頂点となるアングラーオブザイヤーが決まります。運命の第3戦の地は、岩手県大槌/両石湾。決められた競技エリア内でのラン&ガン戦となります。今大会にエントリーいただきました選手は総勢109名。この度も多くのエントリーをいただきましてありがとうございます。
 今大会のフィールドとなる岩手県「大槌湾」「両石湾」は、岩手県の中央やや南に位置し、どちらもリアス式海岸のなかにある大きな湾。ラグビータウンとして有名な釜石の市街地からも程近く、アクセスしやすい釣り場として年間を通じ多くの釣り人が訪れます。三陸のリアスらしく、東西に細長く広がり、磯やサーフ、漁港、河口など、変化に富んだ入江です。当初、大槌湾内6エリア、両石湾内4エリアという予定でしたが、先の台風19号による影響により、一部の変更が余儀なくされました。事前に選手には大槌湾内5エリア、両石湾内2エリアとする変更案を連絡。むかえた大会前日、競技エリアを最終確認すると、前夜に降った雨により各エリアともひどい濁りが入ってしまっていました。このまま開催した場合、限られたエリアに多くの選手が集中することが予想されるため、濁りの影響が少ない隣接する釜石湾にある釜石港の一部を急遽、今回のトーナメントエリアとして加えることとしました。
 事前の釣況はというと、海水温は依然として高く、海中の季節進行はかなり遅れている模様。一部の選手は魚のポジションを把握しており、トータルウエイト3kg台も目指せると話す選手が数名いたものの、大半の選手はハイスコアに繋がるプランをまとめきれていない様子。そこに台風19号、そして金曜夜半の雨が状況を一変させてしまいます。プラクティスで組み立てていたプランは完全に崩壊し、一からプランを組みなおさざるを得ない状況に頭を抱える選手達。はたして打開策を見つけられるのか?おそらく全選手が不安を抱えたまま大会当日へ…

 10月27日(日)、4:30。大会本部となる大槌湾根浜漁港に、選手達が集まります。5:00より受付を開始し、今回急遽追加となった釜石港競技エリアマップを配布すると、選手の口から「いやぁ、これは迷っちゃうなぁ・・・」という声が漏れます。それだけ当初の競技エリアだけでは厳しいことがうかがえます。5:30過ぎよりミーティングを実施。レギュレーション・競技エリアの確認を再度行い、いよいよ2019東北ツアー最終戦のフライトとなりました。20名ずつフライトコールされ、北へ南へと散らばっていきます。このタフコンディションをどの選手が、どうやって攻略するのか?注目したいところです。
 全選手がフライト後、各エリアのチェックを開始します。まずは北からチェック。赤浜エリアには数名の選手が展開しています。前日にくらべるとうねりは幾分納まり、水色も若干回復傾向。とはいえ濁っていることは変わりありません。めぼしいバイトも無い様子。そこから大槌港内をチェックしていきます。北面には満遍なく多くの選手がロッドを振っています。話を聞くと「ヒラメを釣った」という選手が数名。今大会の対象魚ではないにしろ、この濁りのなかでも魚が動いていることは前向きな情報。ロックフィッシュもベッコウゾイが数尾釣れていました。そこから湾内へと移動していくと、大槌港奥にはかなりの選手が集中しています。このエリアの水色が大槌、両石湾内で最も安定しているため、前日からこの光景はある程度予想されていました。選手達に声をかけると「朝早い段階でキーパーをキャッチできた」とうれしい返答が。なかには「リミットメイクしている」という選手もいます。状況的にかなり厳しい釣果を想定していましたが、複数の選手が魚をキャッチしていることに胸を撫で下ろします。このエリアには戸澤直彦選手の姿がありました。第2戦を終えた段階で、同ポイントで4名がトーナメントリーダーとして並ぶ近年稀にみる混戦。戸澤選手もそのうちの一人です。アングラーオブザイヤーがかかる一戦だけにその動向が注目されるところ。朝の段階で2尾キャッチしており、次の時合い待ちとのこと。この“あと1尾”が鍵となりそうです。そこから大槌湾内の各漁港、両石漁港を見て回るも、選手の姿はまばら。濁りが強く非常に難しい状況に見えます。
 そのまま南へ移動して釜石港へと向かいます。釜石港内の水色を見ると、普段と大して変わらないほどの透明度。これは期待が持てます。もちろんこの状況を見逃すわけもなく、多くの選手がエントリーしています。港内を丁寧に釣り歩く選手、堤防の先端から遠投で探る選手と、アプローチは様々です。そのなかでにぎやかなスポットが…港奥の小堤防先端です。エントリーしている複数の選手のなかに、東北ツアーを引っ張り続ける大ベテラン達の姿があります。佐藤雄一選手と中村勝選手です。ちょうど運営班が到着したタイミングで中村勝選手のロッドが曲がります!手慣れたファイトですんなりと40cmクラスの良型アイナメをキャッチ。おもわずガッツポーズがでます。一方、その隣でロッドを振っている佐藤雄一選手は、先に書いたトーナメントリーダー4名のうちの一人。気になって釣果を確認すると「リミットメイクはしている。28cmが1尾いるので、その魚を入れ替えたい・・・」との話。この時点ではおそらく戸澤選手とはかなりの僅差。両選手ともにこの難しい状況下できっちりスコアを積み上げており、年間サーキットはこの二人の一騎打ちになりそうな気配…

 12:00より本部のある根浜漁港で検量を開始。予想通り、帰ってくる選手は数名。キーパー一尾が順位を押し上げるタフな試合。ましてや、終了間際のタイミングに時合いがきそうなタイドスケジュール。もしかしたら最後の一投にドラマが・・・そんな思いでキャストを続けている光景が目に浮かびます。12:40を過ぎたあたりから検量が続きます。108名中、44名がウエイイン。多量の雨水による激濁りという極めてタフな状況を攻略した選手の姿に、頼もしさを感じた検量となりました。

【TOP3】

順位 氏名 重量(g) 獲得ポイント
1 谷藤 圭太 2290 100
2 佐藤 雄一 1730 98
3 中村 勝 1620 96

優勝 谷藤 圭太

 

 2019東北ツアー第3戦を制したのは、北海道函館市からエントリーの谷藤圭太選手。アイナメ3尾、トータルウエイト2,290gをウエイイン。北海道ツアーに参戦し続けている谷藤選手。ちょうど一週間前、北海道ツアー第3戦を終えて、マスターズクラシック北海道に届かず悔しさをかみしめたばかり。一縷の望みをかけて臨んだ初の東北ツアー参戦。見事、マスターズクラシック東北への切符を掴み取りました!

コメント: 初めての東北ツアー参戦。前日、競技エリアを一通り見て回り、大会当日は大槌港市場前にエントリーしようと考えていた。当日朝、予定のエリアに向かうも、水の色が前日よりも悪くなっていたため、各エリアをラン&ガンするか?それとも追加エリアの釜石エリアに行くか?悩んだ。釜石の方が水が良いとの情報があったので、釜石港へと向かう。まず、東側の防波堤基部周辺の外向きを遠投で探る。何も起こらなかったので内向きにシフトするも、ロープがあり断念。そこから同防波堤の先端へと小移動する。50gフリーリグを遠投し、ズル引きで探った。最干潮近くの8:30を過ぎた時点でもノーバイトだった。ズル引きで探るなかで、手前20mほどのところから敷石が入っていることに気がついた。そこで、敷石のはじまり周辺から丁寧に探り、穴があればしっかりとリグを送り込んでみたところ、3つ目の穴の奥で待望のバイト。それが今回一番良いアイナメで、自分にとって東北で出会った最初のロックフィッシュ。思い出の一尾に会うことができ、とても嬉しかった。その後、敷石周辺を軽めのキャストで探ると、ファーストフォール着底後にバイト。2尾目をキャッチすることができた。3尾目は、1尾目同様に穴にしっかりとリグを入れて喰わせた。マスターズクラシック東北を勝ち抜き、スーパーロックフィッシュへ行きたい!そのためにこの二週間であと二回、岩手へ来ます!!

タックル

ロッド: 9’09”スピニングロッド
ルアー&リグ: エコギア熟成アクア リングマックス3”(エコギア) + 50gフリーリグ

2位 佐藤 雄一

 

 準優勝は、宮城県石巻市からエントリーの佐藤雄一選手。アイナメ3尾、トータルウエイト1,730gをメイク。佐藤雄一選手といえば、ロックフィッシュに限らず長年、東北のルアーシーンを牽引し続ける大ベテラン。厳しい状況のなかでも魚を見つけだし、確実にキャッチしてくる姿に、ベテランならではの洗練された高度な技術、そしてタフな状況でもブレない強いメンタルを見ることができました。

コメント: 今大会に向けて2回のプラクティスを行っていた。自分のゲームは遠投スタイルなので、遠投が通用するエリアを絞るプラクティスだった。濁りが入る前、愛の浜での遠投ゲームに勝機を見出していたため、今回持ち込んだタックルはすべて遠投用。ライトタックルは一切持ってこなかった。しかし、前日の海の濁りを見て愕然。大槌港最奥に入り、1本獲れれば…というプランに切り替えざるを得ない状況だった。しかし大会当日、釜石港が追加されたため、プランを変更。釜石港は水が良いとの情報だったので、フライトして釜石港へと向かった。以前に釜石港内で釣りをした際、港内の浮き玉に魚がついていたことを思い出し、まずは港内を釣り歩くもサバばかり。そのまま港最奥にある小堤防先端に移動。この時点で7:30頃だった。遠投した沖のささいな変化でバイトがあり、1尾目をキャッチ。リフト幅を細かくし、丁寧に誘うことでバイトに繋げた。再現性がありそうだったため、8:30前後の潮どまりも計算してこのゲームを貫くことにした。9:00までに2尾目、3尾目と追加しリミットメイクに成功。遠投ゲームでは、飛距離のことがよく言われるが、大切なのは精度。同じコースを的確に通せなければ再現性が無い。また、100m以上沖のバイトをものにするためにはセッティングも重要。今回は、PE0.6号にシンカー42g、フックは刺さり重視でフッ素コートのものを使用。ルアーの自由度を上げるため、スイベル付きのフックを使い、さらにはシンカーとの距離を開けるためビーズも入れた。ルアーは、エコギア アクア 活カサゴミルフル3”(A18 ホヤイエロー ブラックFlk.を中心に、他A13などをローテーション)をチョイスした。遠投ゲームでは、水色はクリアな方が優利。とくに今回のような魚影が薄い状況ではなおさら。釜石港が追加になっていなければこの立ち位置にはいなかっただろう。

タックル

ロッド: 9’11”スピニングロッド
ルアー&リグ: エコギア アクア 活カサゴミルフル3”(エコギア) + 42gビフテキリグ

3位 中村 勝

 

 表彰台3位に立ったのは、宮城県石巻市からエントリーの中村勝選手。アイナメ2尾、トータルウエイト1,620gでフィニッシュ。中村勝選手も、2位佐藤選手とともに東北ルアーシーンを引っ張り続ける超ベテラン。ここぞという時に見せる勝負強さは健在!まだまだ若い者には負けぬと、久しぶりのマスターズクラシックで大いに暴れて欲しいと思います!

コメント: 前日、海を見に行くも、濁りがひどくて30分で切り上げた。当日朝、水色が良いとの話を聞いた釜石港へ行くことにした。港奥の小堤防先端に入る。朝の段階で2バイトあったが、ラインブレイク、バラシと続いてしまった。9:00頃、巡回スタッフがちょうど来たタイミングでバイト。それがナイスサイズのアイナメだった。この魚はおそらく朝、鹿野栄健選手がバイトのみで終わってしまった魚。少し場を休ませておいてからアプローチすることで釣ることができた。ルアーはエコギア アクア 活カサゴミルフル3”(A04 フレッシュレッド ブラックFlk.)のタングステン42gビフテキリグ。隣で佐藤雄一選手がバイトを出していたが、あくまで佐藤選手の距離にいる魚。セッティング的にもなかなか届かないので、ここぞというときまでシンカーを温存。そろそろというタイミングで投入すると、カンッとバイト!しかし、スッポ抜け・・・と思いきや追い食いバイト!それが2尾目となった。ルアーは、1尾目と同じエコギア アクア 活カサゴミルフル3”。カラーは、佐藤選手も使っていたA18 ホヤイエロー ブラックFlk.だった。

タックル

ロッド: 9’06”スピニングロッド
ルアー&リグ: エコギア アクア 活カサゴミルフル3”(エコギア) + 42gビフテキリグ

【P.O.C 2019 TOURNAMENT TOUR 東北 “Angler of the Year”】 佐藤 雄一

第1戦7位、第2戦12位、第3戦2位という成績で年間累計ポイント264pt.とし、熾烈なP.O.C.2019トーナメントツアー東北の頂点に立ったのは佐藤雄一選手。第2戦を終えた段階で年間ポイント累計166pt.に4名がトーナメントリーダーとして並ぶという近年稀にみる接戦のなか、第3戦で2位を獲得し、混戦を抜け出しての見事な年間優勝です。自身にとっては2008年、2009年、2010年の3年連続A.O.Y.以来となるアングラーオブザイヤー獲得。悲願のP.O.C. SUPER ROCK FISH クオリファイチケットを手にしました。おめでとうございます!

【総評】

 台風19号、10月25日の雨により、開催することすら危ぶまれた今大会。地域の方々、参加選手のご協力により、無事に開催することができました。パワーオーシャンカップは、多くのみなさまに支えられることでようやく形になっていることを強く感じました。そして「現場に少しでも活気を取り戻したい」という選手達の思いがひしひしと伝わってくる大会でもありました。大会を運営する者として、釣りという文化を通して、地域に少しでも貢献できるような大会を目指していきたいと改めて心に刻んだ一戦となりました。
 釣果を見てみると、濁りによるタフコンディションをどう攻略するかが注目された今大会。上位3名が濁りのない釜石港での釣果という点を考えると、濁りを避けるという選択が今回は勝利へと繋がったかたちとなりました。その一方で、4位、5位、6位の選手は濁りのある大槌港でしっかりスコアをまとめてきました。一見釣果を出すには厳しいと思えてしまうほどの濁りのなかで、狙うべき魚を探し出し、時合いを逃すことなく、バイトをものにし、確実にキャッチする・・・これは高い技術無くして実現しないことです。“難しい状況にこそ、アングラーの技術が問われる”そのことが浮き彫りとなった試合でした。
 最後に、この度の豪雨災害に関しまして、改めましてパワーオーシャンカップ運営一同、心よりお見舞い申し上げます。被災地では今なお生活再建に向けた復旧作業が続いております。一日も早い復興をお祈り申し上げます。

結果

順位氏名重量(g)獲得ポイント
1谷藤 圭太2290100
2佐藤 雄一173098
3中村 勝162096
4千葉 達也161094
5阿部 寿彦157092
6戸澤 直彦149090
7小田島 良太120088
8鈴木 崇119086
9佐々木 俊118084
10佐々木 裕平110082
11鈴木 隆ノ介107080
12小田島 海斗106078
13井戸川 真吾101076
14山崎 健治93074
15中村 渡92072
16三浦 恭輔89070
17松本 怜大88068
18榊原 航85066
19森本 正善76064
20鈴木 泰洋71062
21武山 重之58060
22藤原 朋樹57058
23坂本 広宣55056
24工藤 大尊54054
25蜂谷 雅人51052
26菅野 昌文44050
27佐藤 郁也42048
28市川 翔太40046
28藤原 久志40046
30伊藤 亜主可37042
31千田 大夢36040
31渡辺 健36040
33盛合 祥希35036
34尾形 慶紀34034
35松本 俊彦33032
36大平 蓮32030
36山口 恵32030
38長根 裕哉28030
39太田 武蔵27030
40中村 亮義26030
41八重樫 敬太19030
42菅野 勝一18030
43川村 倫弘17030
43藤原 大樹17030
45安達 裕輔030
45伊藤 一志030
45岩間 秀斗030
45岩脇 勇太030
45遠藤 貴志030
45大泉 純輝030
45大久保 広徳030
45大友 一行030
45尾形 英一030
45尾形 一成030
45小野寺 克弥030
45小野寺 雄基030
45小野寺 良太030
45小山 彬帆030
45金森 淳030
45鹿野 栄健030
45川島 浩平030
45川尻 達毅030
45川原 武宗030
45菅 雅哉030
45菅野 亜衣030
45菊池 和樹030
45菊池 勇貴030
45君崎 浩己030
45久保 修一030
45熊谷 捷紀030
45桑野 将人030
45堺 研一030
45佐久間 和希030
45佐々木 晃太030
45佐々木 修一030
45佐々木 秀真030
45塩谷 一樹030
45鈴木 健太郎030
45武山 潤030
45武山 雄太030
45長澤 岳則030
45中野 秀哉030
45成田 広之030
45成田 昌克030
45糠盛 奨030
45畠山 大成030
45早坂 專030
45早坂 健030
45日野 雅貴030
45武藤 大虎030
45星野 恭佑030
45洞口 稔智030
45前川原 みちる030
45真木 亮裕030
45松澤 孝浩030
45松澤 真理子030
45松田 隆行030
45松田 涼030
45三浦 松一030
45三浦 永政030
45村山 栄宏030
45守屋 友裕030
45八木 光亘030
45八木澤 廣信030
45山内 一宏030
45山舘 嘉昭030
45吉田 和哉030
45類家 匡寿030
45和山 友則030
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