第102回 POWER OCEAN CUP 2014 MASTERS CLASSIC 北海道

開催日 タイトル 対象魚
11月16日(日) POWER OCEAN CUP 2014 MASTERS CLASSIC 北海道 アイナメ・ソイ

 2014年11月16日、パワーオーシャンカップ2014北海道ツアーを締めくくる「POWER OCEAN CUP 2014 MASTERS CLASSIC 北海道」が開催されました。決戦の舞台は「室蘭港」。ロックフィッシュの宝庫「噴火湾」の北端に位置し、ロックフィッシュの魚影が極めて濃く、ロックフィッシャーマンの聖地的存在。今年の第2戦でも訪れたP.O.C.にとっては馴染み深いフィールドです。

 今大会にクオリファイされた選手は総勢12名。ツアー戦3戦の上位3名、年間ポイント累計上位5名(ツアー戦上位3名を除く)、そして2013A.O.Y.、2013 MASTERS CLASSIC WINNERのみが出場権を獲得できる、まさに頂上決戦です。さらに、ゲストアングラーとしてプロフィッシャーマン田辺哲男がエントリー。ツアー戦を勝ち抜いた凄腕エキスパート達が、己のスキルを全力でぶつけ合うガチンコバトル!激熱戦になること必至!!

 大会当日の朝、恐れていたのは“風”。前日の予報では風は治まるとの話でしたが、当日現場に到着してみると風速10m前後の強風が絶えず吹いている現実に、運営、選手ともに声が出ず・・・。残念ながら予報は外れてしまいました。治まる気配がないため、協議の結果、当初予定していた「南外防波堤」へ渡るのを断念。急遽、第1ステージは室蘭港の一部を限定して行うランガン、第2ステージは追直港ランガンに切り替えてのバトルに変更。思いがけない波乱の幕開けとなりました。

■第1ステージ

 第1ステージは室蘭港ランガン。風の影響を受けにくいL字埠頭からフェリー埠頭にかけてのエリアに限定。

 AM6:00、あたりがまだ明るくなりきらないなか、遂にフライト開始!各選手が思い思いのポイントへと散っていきます。 大きく分けると、本部周辺に入った選手、港奥シャローエリアに入った選手、水深のあるフェリー埠頭周辺に入った選手の三手に分かれた印象。本部周辺には浦川選手、佐藤伸選手、玉川選手、そして田辺プロ。湾奥シャローエリアには柏木選手、経田選手、駒谷選手、佐藤逸人選手、山本選手。フェリー埠頭・中央埠頭周辺には佐藤翔太選手、生田目選手、三上選手、山口選手。どのポイントでもポツポツとアイナメが釣れているようですが、まとまった釣果は出ていない様子。

 そして第1ステージ終了のAM9:00に。この時点でリミットメイクができた選手は3名。勝負の行方はまだまだわからない状況のまま、第2ステージへ・・・。

■第2ステージ

 第2ステージは追直港ランガン。風裏になるかと思われた追直港でしたが、現場に立つと強い横風が。それでもゲームは十分成立するレベルなので、AM9:30スタートフィッシング!追直港はさほど大きくない規模の漁港ですが、ロックフィッシュは豊富。岸壁際でも沖狙いでも十分可能性のある実績フィールドです。

 あらかじめ目をつけたポイントをじっくりと丁寧に攻める選手、状況打破の糸口を探して港の西側にあるシャローエリアに賭ける選手、気になるポイントをとにかくランガンして魚とコンタクトするタイミングを模索する選手・・・攻め口はそれぞれ。第1ステージ同様、数が狙える状況ではなさそうな雰囲気。ワンミスが命取りになりかねないゲーム展開に、見ている私達まで緊張感たっぷり。そしてAM12:30、遂にストップフィッシングの時間に。

【TOP3】

順位 氏名 重量(g) 魚種
1 佐藤 伸 3,880 アイナメ×3
2 駒谷 賢 3,380 アイナメ×3
3 経田 知樹 2,750 アイナメ×3

優勝 佐藤伸

 トータル3,880gという驚異的なハイウエイトを持ち込んだ若手アングラー、佐藤伸選手が見事2014 MASTERS CLASSIC WINNERの座を勝ち取りました!今大会最大となる50cm、1,800gのモンスターアイナメを含むビッグサイズ2本、キーパーサイズ1本のアイナメ計3本でこのスコアをメイク。状況から見てもおそらくマックスウエイトといえる圧巻のフィニッシュでした。

コメント:
 第1ステージは、風をかわせる本部付近のL字埠頭に狙いを絞った。タイミングさえ合えば1本は獲れる自信があったので、ひたすらキャストを繰り返した。開始して一時間半が過ぎた頃に待望のヒット!キッカーフィッシュとなる1,800gのアイナメをキャッチして第1ステージを終えた。 第2ステージは、東側の港奥にエントリー。向かい風ではあったが、底にゴロタ石が絡むポイントなので粘った。リアクションバイトを狙った展開で1,580gをキャッチ。その後、もう一本追加してリミットメイク。ただ3本目の魚のウエイトに不安があり、さらなる入れ替えを狙った。50gの差ではあったが、魚の入れ替えに成功。そして検量の時間を迎えた。使用したルアーは全てバグアンツ2”(#383 パンプキンカモフラージュ)の10gテキサスリグ。いつも以上に集中して自分のスタイルを貫き通した。

タックル:

ロッド: ロックフィッシュボトムTR RBT711LS(ノリーズ)
ルアー&リグ  バグアンツ2”(エコギア) + 10gテキサスリグ

2位 駒谷賢

 準優勝は、2014A.O.Y.を獲得した駒谷賢選手。第1戦優勝、第2戦8位、第3戦3位と今シーズン常に上位に絡んだ年間王者がCLASSICでもその実力を思う存分見せつけました。アイナメ3本でトータル3,380gというハイスコア。圧巻だったのは周囲が沈黙する第2ステージのなかで、一人だけ何度もロッドを絞る姿。その様子を近くで見ていた田辺プロが思わず唸ったのも頷けます。

コメント:
 第1ステージは、朝一に中央埠頭へエントリー。フラチャット1/2oz.で岸壁際を中心に巻いてみるも反応が薄い。活性が低いと判断して一時間でポイントを見切り、対岸のシャローエリアへ移動することに。ここには10~15m沖にブレイクがあり、高確率で魚がストックされていると思い、リミットを揃える為に移動した。先にこのポイントに入っていた経田選手が既に魚をキャッチしていたが、自分も短時間で40cmクラスのアイナメを2本キャッチすることができた。ルアーはバグアンツ2”の7~10gテキサスリグ。しばらく同じ場所を撃つも、同エリアで既にトータル6~7本の魚が出ていたため、これ以上獲るのは難しいと判断。残り30分を切った段階で移動を決意。中央埠頭基部にあるストラクチャーを狙いに移動。AM8:50頃、ラストキャストで40cmクラス後半をキャッチした。この時点ではアイナメでリミットメイク、3kg弱のウエイトだった。 第2ステージは、本部前の岸壁際のスリット撃ちからスタート。ルアーはバグアンツ2”の7gテキサスリグ。アクションは「着底後→トゥイッチ→フォール」。反応が無ければ次のスリットへと、テンポ良く撃っていくと3~4投目に35cmクラスをキャッチ。入れ替えにはならなかったが好反応を得られたので、同じ釣り方を続けていくと最大魚となる50cmクラスの雄アイナメをキャッチすることができた。その後は、港内をランガンし、数尾追加するも入れ替えできずフィニッシュとなった。

タックル:

ロッド: ロックフィッシュボトムRFB610M(ノリーズ)
ルアー&リグ  バグアンツ2”(エコギア) + 7~10gテキサスリグ

3位 経田知樹

 3位にランクインしたのは昨年のCLASSIC覇者、経田知樹選手。アイナメ3本でトータル2,750gをメイク。周囲も認める安定した戦いぶりで見事今年もCLASSICの表彰台に上がりました。おそらく今大会で最も早い時間にリミットメイクしていた選手は経田選手。渋いコンディション下でも確実に魚を手にする実力は流石の一言に尽きます。

コメント:
 第1ステージは、朝一にディープの縦ストラクチャー狙いからスタート。変化のある所のみを探るもノーバイト。次に基礎の地形変化についている魚を探すも、こちらもノーバイト。シーズナルに考えてシャローエリアに移動することを決意。初めて入るエリアだったのでとりあえず広範囲に探れて、喰わせる能力のあるキャロライナリグを選択。ルアーは2-1/2”パドチュー(#317 ライトグリーンパンプキン ブルーFlk.)。大雑把にシャローを探ってみると、30分ほどで沖約40mにある捨て石混じりのブレイクラインを発見。程なく40cmクラスのアイナメをキャッチした。ルアーアクションは、地形変化を見つけたらステイし、その後リアクションというパターン。その後も細かく探って40cmクラスを1本追加。さらにキッカーフィッシュとなる45cmアップのアイナメをキャッチすることができた。この時点で「お立ち台にいける」と思ったが、第2ステージに入ると入れ替えするための策が見出せず、そのままウエイインとなった。今回の上位入賞の鍵となったのは、第1ステージで、シャローエリアの沖のピンスポットを見つけられたことだと思う。

タックル: ロッド:ロックフィッシュボトムRFB610L
ルアー&リグ  2-1/2”パドチュー(ノリーズ) + 3/8oz.キャロライナリグ

【NORIO TANABE’s GAME】

■第1ステージ

 まずは本部近くのL字埠頭にエントリー。足元の岸壁際をインザベイトバス7g(ノリーズ)で縦に探る。一通り探るも反応が無かったため、フェリー埠頭に移動。同じようにインザベイトバス7g(ノリーズ)で探るも反応無し。ルアーをラッピングミノー10g(ノリーズ)にシフトするも局面を打開できず・・・。ロッドをロックフィッシュボトムTR RBT610MSから、ロックフィッシュボトムTR RBT711LSに持ち替え、2-1/2”パドチュー(ノリーズ)の14gキャロライナリグで周囲を探る。すると小さなバイトが時折入る。しかしなかなかフッキングしない。フッキングしてもノンキーパーのアイナメ・・・。第1ステージはノーフィッシュで終えた。

■第2ステージ

 本部前の岸壁際をインザベイトバス7g(ノリーズ)で縦に探る。スリット周りを丁寧に探るも反応は得られず。次に2-1/2”パドチュー(ノリーズ)の10gテキサスリグで同じように縦に探ると強烈なバイト!コンディションの良い雄アイナメをキャッチした。その後、バイトはあるものの乗らず、1フィッシュでウエイインした。スタート前から宣言していた縦のゲームに終始こだわり、ハードベイトを織り交ぜた新しいゲームスタイルを模索した一日だった。状況によってはハードベイトが炸裂することを予感させてくれるゲームだった。

総評

 強風のため予定していた沖堤防に渡れないというハプニングに、一時はどうなるかと心配された今大会。しかし、蓋を開けてみれば上位7名が2kg超の釣果を持ち込む結果となりました。やはりCLASSICに名を連ねる強者たちの実力は並大抵ではありません。予期せぬ急なプラン変更のなかでも、それぞれが自分の信じるスタイルを貫いて、最後まで諦めずに戦い抜いた選手の姿がとにかく印象に残る大会でした。

 また、CLASSICならではの各選手の距離間。周囲の選手の動きを把握しながら試合を組み立てていく緊張感は、戦った選手にしかわからない格別の面白さだと出場した選手は言います。P.O.C.のなかでも究極のトーナメント、それがCLASSICなのだと改めて感じる大会でした。

 最後に、優勝した佐藤伸選手の「来シーズンは全試合、お立ち台を狙います!」との言葉に、若さと勢いを感じました。振り返れば、今シーズンは若い世代の台頭が目立った一年。しかし、勢いに乗る若手に刺激をうけたベテラン勢も絶対にこのままではいないでしょう。来シーズンはさらに激しく、熱く、そして面白いP.O.C.にしたい・・・そう思いながら帰路につきました。

結果

 
順位氏名重量(g)魚種
1佐藤 伸3,880アイナメ×3
2駒谷 賢3,380アイナメ×3
3経田 知樹2,750アイナメ×3
4山口 隆2,670アイナメ×3
5浦川 正則2,390アイナメ×2
6三上 顕太2,260アイナメ×3
7柏木 雅一2,210アイナメ×3
8玉川 正人1,590アイナメ×2
9佐藤 翔太1,450アイナメ×3
10田辺 哲男840アイナメ×1
11山本 英仁770アイナメ×2
12生田目 麗司500アイナメ×1
13佐藤 逸人0-