P.O.C. SUPER ROCK FISH

第122回 ROCK FISH P.O.C. SUPER ROCK FISH 宮城県石巻市 金華山港 11月27日(日)

 昨シーズンから新たに加わった北海道・東北ツアーの頂上決戦「P.O.C. SUPER ROCK FISH」。各ツアー戦を勝ち抜いてきたクオリファイ選手8名とゲストプロアングラー2名の総勢10名のみに出場が許される夢の舞台です。昨年はパワーオーシャンカップの原点・北海道函館での開催が記憶に新しいところ。そして第二回となる2016 P.O.C. SUPER ROCK FISHの舞台は、数ある東北のフィールドのなかでもロックフィッシュゲームの聖地として名高い「金華山」をセレクト。競技エリアを港周辺に限定し、10名の選手が互いの動きを把握できる距離感のなかで激しく競い合う戦いとなります。泣いても笑っても、この一戦で2016シーズンのパワーオーシャンカップ最強のアングラーが決まります!

 大会前夜、クオリファイ選手とゲストアングラーの顔合わせとなるレセプションを開催。北海道、東北と日頃釣りをするフィールドは違えど、ロックフィッシュゲームに向き合う真剣な姿勢は同じ。それぞれが心に持つロックフィッシュゲームに対する熱い気持ちを交し合い、非常に有意義なコミュニケーションの時間となりました。これから先もロックフィッシュゲームを楽しんでいくために、先頭に立つアングラーとしてやるべきこと…それを皆が再認識し、共有することができた一時となりました。

  そして翌2016年11月27日、いよいよ2016 P.O.C. SUPER ROCK FISH本番を向かえます。懸念していた雨も朝の段階では小康状態。気温もさほど低くなく、風も釣りには差し障りない程度。絶好の大会日和となりました。今回の舞台となる金華山には海上タクシーを利用して渡ります。まずは海上タクシーのある牡鹿半島寄磯漁港へと、選手全員で移動します。各選手すでに臨戦態勢のなか、早々に船に乗り込み、いざ決戦の地「金華山港」へ。

 7:00頃、目的地の金華山港に到着。レギュレーション確認のミーティングを行い、7:10、遂にスタートフィッシングのコールとなりました。港のほぼ中央に本部を置き、各選手がそこから徒歩にて移動します。スタートの時点で、北側の埠頭に展開したのは折本隆由選手、戸澤直彦選手の2名。南防波堤には小山内薫選手、小田島辰也選手、柏木雅一選手、鹿野栄健選手、佐藤伸選手、田辺哲男選手、松田涼選手。そして南側ゴロタ浜に一人、佐藤裕一選手がエントリーしました。この選択が後の戦況を大きく左右するだけに、興味深い布陣。南防波堤の先端付近に小山内選手、柏木選手、佐藤伸選手の北海道勢3名が並びます。防波堤中央付近に小田島選手、鹿野選手、田辺選手、根元に松田選手の姿。

開始してしばらくするとロッドが各所で曲がり始め、南防波堤と南ゴロタ浜では順調に釣れ続けています。ただ、南防波堤に展開した選手から一様に「サイズが伸びない・・・」との言葉が漏れます。30cm前後のアイナメのバイトが続き、キッカーフィッシュからのバイトが遠い様子。一人、南ゴロタ浜にエントリーしていた佐藤裕一選手が、他の選手よりも一回り良いサイズのアイナメをキャッチ。開始早々にリミットメイクし、一歩リードする展開に。

  8:00、複数の選手がリミットメイクに成功している様子。この時点で10名中8名が魚をキャッチしていました。この後、最干潮をむかえ、スタートのラッシュ状態から、試合がやや落ち着き始めます。そんななか、松田選手が南防波堤から南ゴロタ浜へ小移動。浜側から防波堤外面に沈む消波ブロックの際を撃ち始めます。そしてポツリポツリとスコアを上げ始めます。北側の埠頭に展開していた戸澤選手が同じく小移動。埠頭側で開始早々に1尾をキャッチ。しかし、後が続かない状況を打開すべく北側のゴロタ浜に入ります。そして、バイトを取り始めます。一方で、同じ北側の埠頭で粘っていた折本選手。移動した戸澤選手を横目に、こちらもコツコツとスコアを積み上げていきます。

 10:00、この時点で10名の選手全員がリミットメイクしているというレベルの高さ。まさしく頂上決戦です!南防波堤中央付近にいた田辺選手。ここからサイズアップを狙うべく、折本選手がいる北側の埠頭へと移動。そしてポイントに入って早々、ナイスサイズのベッコウゾイをキャッチし、難なくスコアアップに成功。これには折本選手も思わず苦笑い。

 11:00を過ぎた時点で、佐藤裕一選手が頭一つリードしている状況。しかし、各選手のウエイトはかなり拮抗しており、キッカーフィッシュ1尾で一気にトップに躍り出るような緊迫した展開に。最後の最後まで誰が頂点に立つのか・・・全くわかりません。

 ストップフィッシングは12:00。本部にて検量を行いますが、11:45になっても誰も本部へ戻ってこようとしません。キッカー1尾のウエイトで試合がひっくり返る状況なだけに、タイムアップギリギリまでロッドを振り続ける選手達。そんな局面のなか、試合を決定づけるようなキッカーとなるベッコウゾイが遂に出ます・・・そして運命のウエイインを向かえます。

優勝 佐藤 裕一

アイナメ2尾、ベッコウゾイ1尾 2,650g

【today’s game】 南側ゴロタ浜にエントリー。スタート一時間足らずでアイナメ3尾をキャッチし、リミットメイクに成功。その後も順調にアイナメを釣り続け、入れ替えを繰り返していった。終始リードする試合展開のなかで、終了間際に今大会最大魚となるベッコウゾイ、1,090gをキャッチ。これにより勝利を確実なものにした。2016東北ツアーA.O.Y.、2016 MASTERS CLASSIC 東北準優勝を引っさげて臨んだ今大会。勢いそのままに2016 P.O.C.の頂点へと一気に駆け上りました!

【comment】 金華山で釣りをしたことがなく、あらかじめ航空写真を見て、入る場所を決めて当日に臨んだ。エントリーしたのは南側に広がるゴロタ浜。朝の段階では他の選手とはバッティングしなかった。朝一に狙ったのは手前にある海藻絡みのシャロー。ベイトタックルでショートキャストし、テンポ良く探っていった。ルアーはロックマックス4”(395 ロックモスブラッド)の14gテキサスリグ。ボトムをあまり取らず、スイミング気味にリフト&フォールで探った。このパターンで早々にリミットメイク。遠投で沖側も探ってみたが、サイズが小さいと判断し見切った。狙いはあくまで手前のシャロー。一通り探りきった後にロッククロー2”(217 イソガニ)の8.8g~10gテキサスリグにスイッチ。寄せ波でリフト、引き波で漂わせるような感じで、フワフワとアクションさせるとコレがパターンにはまった。入れ替えを繰り返し、スコアを着実に伸ばしていった。そして終了15分前、風が強くなってきていたのでシンカーを14gに上げて、温存しておいたブレイク周辺にキャスト。着底と同時に根掛かりのようなバイト!途中根に潜られたが、PE#0.4+リーダー10lbs.のために慎重にファイトをし、キッカーとなるベッコウゾイをキャッチすることができた。今大会前に、スーパーロックフィッシュを優勝する夢を三度も見ていた。その夢が正夢となって本当にうれしい!

【tackle 1】

ロッド: 8’03”ベイトロッド
ルアー&リグ: ロックマックス4”(エコギア) + 14gテキサスリグ

【tackle 2】

ロッド: 9’09”スピニングロッド
ルアー&リグ: ロッククロー2”(エコギア) + 8.8~14gテキサスリグ
※14g時はロッククロー2"の逆付けレッグ一対をカットして使用。

2位 戸澤 直彦

アイナメ3尾 1,910g

【today’s game】 はじめに北側の埠頭へエントリー。そこで幸先良くアイナメ1尾をキャッチ。その後、北側のゴロタ浜へ小移動。競技エリア北端からゴロタ浜を丁寧に探り歩いた。ゴロタ浜に入ってからリミットメイクに成功。入れ替えを繰り返した。的確な状況判断と、確実にリミットメイクをし、そこからウエイトを伸ばしていく今年の戸澤選手を象徴するような戦いぶりで、2016 P.O.C. SUPER ROCK FISH準優勝を掴み取りました!

【comment】 最初に入ったのは北側の埠頭。北側を向けばシャロー、西側を向けばディープを狙うことができるので、まずはここから始めた。シャロー側で30cmクラスの雄アイナメを1尾キャッチ。その後はバイトが遠い。入っている立ち位置が深すぎると判断し、北側に広がるゴロタ浜に移動。シャローに差してきているであろうスポーニングを意識した魚に的を絞った。水深1m未満のシャローに海藻が若干生えていたのでその周辺をピッチングで重点的に手返し良く探っていくことに。はじめはグラスミノー+ジグヘッドのスイミングを試してみたが、いかんせん波打ち際でスタックしやすく、リズムが崩れてしまうので、ロックマックス4”(436 ホットシルキーイエロー)の14gテキサスリグにチェンジ。手前に点在する海藻エリアをフワフワとリフト&フォールで探っていき釣っていった。ショートバイトが多くなってきた段階でルアーを、エコギアアクア活カサゴミルフル3”(A03 アトラクティブオレンジ ブラックFlk.)の10gテキサスリグにスイッチ。入れ替えを繰り返し、さらにスコアを積み上げていった。途中1kgクラスを2尾ミスってしまったが、気持ちを切らさずに戦った。バイトシーン丸見えのシャローで展開したゲームで30尾近くの魚をキャッチできたので、非常に楽しいゲームだった。

【tackle 1】

ロッド: 9’02”スピニングロッド
ルアー&リグ: ロックマックス4”(エコギア) + 14gテキサスリグ

【tackle 2】

ロッド: 9’02”スピニングロッド
ルアー&リグ: エコギア アクア 活カサゴミルフル3”(エコギア) + 10gテキサスリグ

3位 松田 涼

アイナメ3尾 1,720g

【today’s game】 はじめは南防波堤根元にエントリーし、アイナメ1尾キャッチ。その後、南側のゴロタ浜に小移動し、防波堤外面に沈む消波ブロック際を撃つ。順調にアイナメをキャッチし、リミットメイク、入れ替えと徐々にスコアを伸ばしていった。最後、朝一に入っていた南防波堤根元に戻り、さらに入れ替えに成功。東北ツアーに現れたニューフェイスが、2016 MASTERS CLASSIC 東北優勝に続き、SUPER ROCK FISH表彰台の快挙を成し遂げました!

【comment】 朝一は南防波堤の根元付近に入った。早い時間にアイナメをキャッチ。その後は反応がいまいちだったので、港内から出て、南側のゴロタ浜に移動した。ゴロタ浜に入ってすぐのポイントに立ち位置をとり、港外面に沈む消波ブロックの際をキャストで探っていった。魚が溜まっていたのでそこでリミットメイク、さらに入れ替えをしていった。結果四時間近くこのポイントでゲームを続けた。ルアーは、エコギアアクア活カサゴミルフル3”(A03 アトラクティブオレンジ ブラックFlk.、A04 フレッシュレッド ブラックFlk.)の21gテキサスリグや、ロックマックス5”(370 ケルプジャングルチョイス)、ロッククロー2”(434 アボカドチャートハーフフロート)の28gテキサスリグをローテーションしていった。21gテキサスリグは大きめのリフト&フォールとスイミング。28gテキサスリグは大きめのリフト&フォールと使い分けた。良いサイズが出たのはエコギアアクア活カサゴミルフル3”だった。早い時間にこのポイントを見つけることができたことが入賞できた要因。

【tackle 1】

ロッド: 9’03”スピニングロッド
ルアー&リグ: エコギア アクア 活カサゴミルフル3”(エコギア) + 21gテキサスリグ

【tackle 2】

ロッド: 9’06”スピニングロッド
ルアー&リグ: ロックマックス5”(エコギア)、ロッククロー2”(エコギア) + 28gテキサスリグ

4位 折本 隆由

 

アイナメ3尾 1,420g

【today’s game】 北側の埠頭先端にエントリー。ここを選んだ主な理由を聞くと「広角に撃てるため」。このポイントで粘り通す展開。他の選手が釣れない時間帯もコンスタントに釣果を出し続けていき、入れ替えを行っていった。ウエイトを着実に伸ばし4位に食い込んだ。

5位 田辺 哲男

 

アイナメ2尾、ベッコウゾイ1尾 1,400g

【today’s game】 朝一は南防波堤の中央部付近にエントリー。目の前に沈む四角の構造物周辺を探り、釣果を重ねていった。途中、堤防際を狙いスコアアップに成功。後半、北側の埠頭に移動。北面に広がるゴロタ浜を撃ち、良型のベッコウゾイをキャッチ。入れ替えに成功した。

6位 佐藤 伸

 

アイナメ3尾 1,340g

【today’s game】 朝一、南防波堤先端にエントリー。遠投で広範囲を探る。早い段階でリミットメイクに成功。その後も着実に釣果を重ねていった。終始このポイントで粘り通してキッカーを狙い続けたが、キッカーは出ずにそのままフィニッシュとなった。

7位 鹿野 栄健

 

アイナメ3尾 1,070g

【today’s game】 朝一は南防波堤中央付近にエントリー。足元に沈む根周りをスプーンテールシャッド6”で探る。狙いは大型のベッコウゾイだったが不発。そこから南ゴロタ浜に移動して、アイナメ狙いに切り替える。試合展開を立て直して、釣果を重ねリミットメイク、入れ替えていった。

8位 小田島 辰也

 

アイナメ3尾 1,060g

【today’s game】 南防波堤中央付近にエントリー。足元、中距離、遠投と広角に探り、様々なルアーをローテーションしながら釣果を着実に積み上げ、早い段階でリミットメイクしていた。最後、本部前に移動し、探るも入れ替えならず、そのままフィニッシュとなった。。

9位 柏木 雅一

 

アイナメ3尾 880g

【today’s game】 南防波堤先端付近にエントリー。おなじ北海道勢の佐藤伸選手、小山内選手と並ぶ形でゲームを展開していった。他の選手同様、コンスタントに釣果を伸ばしていくもサイズアップせず、そのままフィニッシュを向かえた。

10位 小山内 薫

アイナメ3尾 830g

【today’s game】 南防波堤にエントリー。中央付近から先端にかけて移動しながら探っていった。最終的には佐藤伸選手、柏木選手と並び先端に入る。途中婚姻色が出た綺麗な雄アイナメを釣るも、その後のサイズアップには繋がらずフィニッシュ。

 

P.O.C. SUPER ROCK FISH 第二代王者は、東北の若手トーナメンター・佐藤裕一選手!!

 2016 P.O.C.東北ツアーアングラーオブザイヤー、2016 MASTERS CLASSIC東北準優勝と、今シーズン絶好調で一年を駆け抜けた佐藤裕一選手がP.O.C. SUPER ROCK FISH第二代王者に。P.O.C.本格参戦を始めて4年という成長著しい若手トーナメンターが、2016ツアー参加総勢371名の頂点に立ちました。おめでとうございます!

 2016 SUPER ROCK FISHを振り返り・・・
  今大会の舞台となった東北屈指のメジャーフィールド・金華山。意外にも東北ツアー選手のなかで訪れたことがある選手は少数派。ましてや磯のイメージが先行する金華山において、港に限定してロックフィッシュゲームを行うということ自体がレアな環境。事実、今回クオリファイされた選手のうち、今回の競技エリア内で過去にロッドを降った経験があった選手は1名のみ。はたして海中の状況はどうなっているのか?アイナメのアベレージサイズは?ストック量は?ポジションは?スポーニングの進行状況は?ベッコウゾイはどうなのか?など何もかもが手探り状態のなかで、競技時間約5時間という短い時間で結果を出すためには、技術はもちろん、経験値、そして運をすべて出し切らなくては勝利を掴み取ることはできません。拮抗するスコアのなかで、アングラーとして持てるものを出し切り、たとえ10gでも伸ばし続ける!今回戦ったスーパーエキスパート10名全員が、全力を振り絞り、真っ向勝負でぶつかり合った“頂上決戦”らしい見応えある一戦となりました。このような素晴らしいゲームフィッシングができるのもロックフィッシュという存在があるからこそ。これからもロックフィッシュゲームの魅力を、パワーオーシャンカップ、SUPER ROCK FISHを通して、全国各地へと伝えていきたいと改めて感じた大会となりました。

 

  最後に、2016 P.O.C. SUPER ROCK FISH開催にあたり、ご協力を頂きました海上タクシーなべちゃん様、石巻グランドホテル様に心より感謝申し上げます。そして、2016パワーオーシャンカップにご参加頂きました全選手の皆様に深く御礼申し上げます。皆様に「パワーオーシャンカップに出たい」「出てよかった」と思っていただけるような大会を目指し、更なるブラッシュアップを行って参りますので、来シーズンも皆様のエントリーをスタッフ一同、心よりお待ちしております。